【講演ポイント】
CCS材料および回収方法として、これまで有望とされてきたアミン溶液を用いた吸収法やゼオライトなどを用いた物理吸着法における課題を整理すると、前者は再生エネルギーコストが高いなどの問題が、後者は前処理で水蒸気を除去する必要があるという問題が挙げられる。すなわちゼオライトのような物理吸着に基づく回収材料では、通常CO2回収にとって妨げになる水蒸気が存在するために、前もってこれを除くプロセスが必要であるということである。
これら課題を克服するための材料として、炭酸カリウムや炭酸ナトリウムが有望と考えられる。炭酸アルカリ金属塩では水蒸気とともにCO2を一緒に回収するので、水蒸気除去の前処理工程を必要としない。しかしながら、これら回収材においても反応速度が遅いとか、再生温度が高くエネルギーコストが高いなどの課題がある。これらの課題を整理し、その改良法について検討した結果を紹介する。さらに最近成果が出つつある、大気からの直接CO2回収(DAC)の可能性についても紹介する。
【プログラム】
1.CCS材料の現状と課題
1.1 吸着(物理吸着、化学吸着)、吸収、吸蔵について
1.2 アミン溶液法の現状と課題
1.3 物理吸着法の現状と課題
2.湿潤下における炭酸カリウム(K2CO3)による二酸化炭素回収
2.1 平衡論的解析
2.2 速度論的解析
2.3 大気からの直接CO2回収(DAC)
3.湿潤下における炭酸ナトリウム(Na2CO3)による二酸化炭素回収
3.1 平衡論的解析
3.2 速度論的解析
3.3 DAC
4.湿潤下におけるK2CO3およびNa2CO3による二酸化炭素回収における問題点と改良法
4.1 現状における問題点
4.2 改良法
4.2.1 ナノ粒子化による反応活性化
4.2.2 異原子導入による構造不安定化
5.工業的利用における特徴
5.1 K2CO3を用いたCO2回収システム例
5.2 その他の工業的利用の可能性
【質疑応答】
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