【講座の趣旨】
近年開発される医薬品の活性が高まるにつれ、そして新たなモダリティに基づく医薬品が増えるにつれ、洗浄バリデーションはますますその重要性が高まっている。この洗浄バリデーションで、最も重要な検討課題は、残留限度値をどう設定するかである。一方で、洗浄プロセスの開発は品質リスクマネジメントを基本としたQuality
by Designの手法を基に行われ、そして開発されたプロセスのバリデーションはライフサイクルを通した取り組みが求められている。本セミナーでは、こうした洗浄・洗浄バリデーションの現状を踏まえ、洗浄バリデーションの基本となる残留限度値設定の考え方やワーストケース、ホールドタイム、残留物の評価法などに加え、近年開発品目が増加しているバイオ医薬品の洗浄上の課題や評価の効率化を図るための手段としてのTOCの活用、そして最近査察でも指摘されるという日常的な工程検証(Continued
Process Verification)における活用について紹介する。
◆習得できる知識
・規制文書が求める洗浄バリデーション時に検討すべき事項
・ワーストケースを利用した洗浄バリデーションの考え方
・残留限度値設定のための考え方と具体的な計算方法
‐従来の方法と毒性に基づいた方法‐
・残留物評価の方法と検討すべき課題(分析方法、回収率など)
・査察に対応するためのポイントと具体的な指摘事項
・プロセスバリデーション Stage3への対応
・洗浄バリデーションにおけるTOCの活用
・バイオ医薬品の洗浄手順
【講座内容】
11.はじめに -洗浄バリデーションの基礎-
1.1 回収事例にみる洗浄バリデーションのポイント
1.2 規制文書が求める洗浄と洗浄バリデーションのポイント
1.2.1 JGMPにおける洗浄バリデーション
1.2.2 EU GMPにおける洗浄バリデーション
1.2.3 cGMP における洗浄バリデーション
1.2.4 ASTM Internationalのガイド(E3106-18)における洗浄バリデーション
1.2.5 その他情報源
2.洗浄バリデーション実施に必要となる文書
2.1 バリデーションマスタープランとは
2.2 マスタープラン作成上の留意点
2.2.1 洗浄バリデーションマスタープランに記載すべき事項
2.2.2 洗浄バリデーションマスタープランと洗浄手順書の関係
2.2.3 洗浄バリデーション実施計画書と報告書
2.2.4 マスターバッチレコードと洗浄記録
2.2.5 Logbook記載上のポイント
3.リスクマネジメントとQuality by
Designに基づく洗浄バリデーション
3.1 洗浄におけるリスクとは何か
3.2 Quality by Designに基づく洗浄プロセス開発
3.3 ライフサイクルを通した洗浄バリデーションへの対応
3.3.1 Continued Process Verificationへの対応
3.3.2 再バリデーションとContinued Process Verification
3.3.3 Continued Process Verificationにどう対応するか
4.ワーストケースアプローチに基づく洗浄バリデーション
4.1 ワーストケースアプローチとは何か
4.2 ワーストケースを利用した洗浄バリデーション‐その考え方‐
5.洗浄バリデーション実施における主な検討事項
5.1 洗浄バリデーションの評価対象
5.2 洗浄方法(マニュアル洗浄、CIP、SIP)
5.3 ダーティホールドタイムとクリーンホールドタイム‐何を評価すべきか‐
5.3.1 ダーティホールタイムの設定方法
5.3.2 クリーンホールドタイムの設定
5.3.3 逸脱時の対応
5.4 残留限度値の設定の考え方
5.4.1 10ppm、0.1%、に科学的な根拠はあるか
5.4.2 具体的な計算事例
5.4.3 毒性に基づいた基準‐90%の薬物については限度値が高くなる‐
5.4.4 目視基準を残留性評価に利用できるか?‐その条件と課題‐
5.4.5 バイオ医薬品における残留性評価の考え方
5.4.6 治験薬製造への対応
5.5 サンプリング上の留意点
5.5.1 Swab法か、Rinse法か‐なぜRinse法は、望ましくないのか−
5.5.2 回収率は、何%が求められるのか ‐評価方法と望ましい回収率とは‐
5.5.3 洗浄性評価におけるTOCの活用
6.目視検査員の適格性評価
6.1 目視でクリーンの意味とは
6.2 目視検査員の適格性をどう評価するか
7.バイオ医薬品製造施設における洗浄バリデーション
7.1 バイオ医薬品製造施設洗浄における特徴と課題
7.2 残留性をどう評価するか
8.査察プロセスと対応のポイント
8.1 査察手順と準備すべき文書
8.2 回答者が留意すべき事項
8.3 指摘事項の具体例
9.まとめ
【質疑応答】
略歴
1979年4月〜2000年2月:ゼリア新薬工業梶@中央研究所
1984年2月〜1986年10月:米国ユタ大学薬学部に留学
1994年7月:博士(薬学)千葉大学
2000年3月〜2006年3月 テルモ梶@研究開発センター 主任研究員
2006年4月〜2008年7月 奥羽大学薬学部 准教授
2008年8月〜2016年5月 武州製薬梶@製造技術部 部長
2016年6月〜2017年5月 一般社団法人 製剤機械技術学会 事務局長
2017年6月〜2021年6月 ナノキャリア梶@研究部 部長
2021年7月〜2023年6月 ナノキャリア梶@取締役(監査等委員)
2022年4月〜2023年3月 富山県立大学客員教授
2023年7月〜2024年6月 NANO MRNA梶@顧問
2024年5月〜 (株)パームエックステラピューティクス
CMC/治験薬管理部長
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