【講座の趣旨】
アコースティックエミッション(Acoustic Emission、AE)技術は、材料の変形・破壊時に発生する弾性応力波を検出して評価に用いる非破壊検査手法の一つです。AE計測は、とても高感度であるため、従来の計測手法では捉えることができない微視的な変形・破壊現象の診断・評価を行うことが可能です。しかし、AE計測には様々な因子が関わり、変形・破壊現象によっても挙動や特性が異なるため、初めてでは手を出しづらい分野と言われています。様々な分野でIoT化やスマート化が進められる昨今、センシングにおいてAE技術の有用性が再注目されており、正しいAE計測・データ解釈の知識が必須となってきます。
本講座では、AE技術をすぐに活用していただけるように、AE技術の基礎から応用まで幅広く、AEセンサの取付けと信号計測などのノウハウ等も含めて学習していただきます。国際規格(ISO9712)のAE試験に関する教育要求で規定されているレベル1〜2技術者に相当する学習内容を視覚的にできる限り解りやすく解説します。本講座を通じて、AE技術の実用へのきっかけとなれば幸いです。
【習得できる知識】
・AEの原理や特性などの基礎知識
・評価対象に合わせたAEセンサの選定とAE計測系の構築ができる
・取得したAE信号の分析と解釈ができる
1.アコースティックエミッション(AE)技術の基礎
1.1 AE計測の歴史と現状
1.2 AE計測の特徴と応用分野
1.3 AEセンサとAE計測システム
1.4 AE評価パラメータと解析手法
2.AE評価パラメータと変形・破壊現象の関係
2.1 AE技術を用いた材料評価の基礎知識
2.2 変形・破壊形態とAE信号
3.AE技術の軸受状態監視への応用
3.1 摩擦・摩耗の基礎知識
3.2 摩擦・摩耗現象とAE信号
3.3 すべり軸受の焼け付き予知
3.4 転がり軸受の寿命診断
3.5 その他の実機診断・評価へのAE技術適用事例
4.AE技術の加工状態監視への応用
4.1 切削・研削現象とAE信号
4.2 工具・工作物の接触検知
4.3 工具刃先状態の認識
4.4 実機搭載のための計測システム
5.その他の実機診断・評価へのAE技術適用事例
6.まとめ
7.質疑応答・総合討論
|