【講座の趣旨】
中小規模組織においては、多くの場合、現場を支える人材が少数であり、複数業務を兼任しているケースが一般的です。そのような現場では、リスクマネジメントの「理論」や「あるべき姿」にまで思いを巡らせる時間がなく、「目の前の業務を回すこと」に専念しがちです
しかしそのような現場では、品質リスクが発現しやすい状況となりやすく、リスクが発現すれば結果として会社は大きなダメージを受けます。
この状況を回避するためには、組織規模にあったQRMの仕組みを構築することが重要です。
本講演では、中小規模組織における「人材・資源の限界」を踏まえつつも、FMEA・HAZOP等のツールは使わず現場で構築できるQRMの運用法について、GMP省令等の法的根拠にも触れながら、具体的な設計手順・教育手法を解説します。
時間がある場合、最後にリスクマネジメントに関するディスカッションを行いますので、マイクをONにできる環境にてご受講いただけますと幸いです。
◆習得できる知識
・現場で構築できるQRMの運用法
・中小規模組織のリスクマネジメント
・リスクマネジメント関係法令
・シンプルなリスクマネジメント
【講座内容】
1.中小規模組織の現実とリスクマネジメント(QRM)
1-1 QRMの基本
1-2 小規模組織
1-3 なぜQRMが中小組織で難しいのか
2.法的要求とQRM
2-1 GMP省令・ICH Q9(R1)
2-2 自社に必要なレベルの見極め方
2-3 査察・監査で見られるQRM関連に関して(経験から)
3.中小規模組織におけるQRMの基本設計
3-1 スモールスタートのQRM:導入のステップ
3-2 リスク評価のシンプルな型(リスクマトリクスなど)
3-3 文書化と見える化
4.QRMを機能させるための組織風土づくり
4-1 現場の「なぜそれをするのか?」の理解
4-2 教育と継続の設計:無理なく回すPDCA
4-3 ヒューマンエラーとリスク認知の教育法
5.事例
5-1 中小組織でのリスクマネジメント失敗事例
5-2 どうすればよかったか?
(項目は変更の可能性があります)
【質疑応答】
●略歴
・2004年4月:「原薬の再処理・再加工(ICH Q7)」(日本医薬品原薬工業会)
・2005年4月:「逸脱の管理(ICH Q7)」(日本医薬品原薬工業会)
・2006年4月:「自己点検(ICH Q7)」(日本医薬品原薬工業)
・2012年9月:「既存設備のリスクマネジメント」(日本ISPE)
・2014年7月:「プレフィルドシリンジの製造〜求められるQM」 (日本PDA)
・2015年12月:「Quality Cultureの意義とその醸成」(日本PDA).
・2016年12月:「Quality Cultureの意義とその醸成-システムに魂を入れるには」(日本PDA))
・2023年11月:「原薬工場の監査について」第13回富山県GMP講演会
・2024年11月:「小規模組織のGMP」第14回富山県GMP講演会
・Pharm Tech Japan(ファームテックジャパン)2017年12月号(Vol.33
No.15)より『中小規模組織におけるQRMのインフラ整備』を連載中。
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