【講座の趣旨】
大きな市場となったリチウム二次電池(LIB)では、その状態把握、安全性の確保がとても重要な課題になっています。よって、本セミナーでは、この汎用LIB特性やモジュールの劣化度評価技術、入荷・出荷時検査やリユース検査技術と関わる電気化学の基礎概念に関して解説し、それらのニーズに応えます。
そこで、LIB開発者はもちろんのこと、新たにLIB関連事業を担当することになり、電池の全容を把握しなければならなくなった方などのために、電池反応の中身が分かるように、LIBの充放電曲線の解析・評価、パルス特性やインピーダンス特性の評価について基礎からじっくりと解説します。特に、各種電気化学的応答スペクトルの解説を擬似等価回路を使って詳しく説明します。また、弊社で開発を新規に行っているインピーダンスおよび高速パルス特性の“電池健康度診断”に関する科学・技術情報を紹介します。特に、機械学習を活用したリチウム二次電池の健全度診断そのモジュールへの適用に関して、さらには、LIBの安全性を脅かすLi析出の高速診断法に関しても解説します。講義終了後は、講演内容に関する受講者のご質問に回答いたします。
【習得できる知識】
リチウムイオン二次電池の仕組み、充放電特性の見方、直流パルス応答の意味、交流インピーダンス法から得られるスペクトルの意味、擬似等価回路を用いた電池健康度診断、電池状態把握の診断、性能劣化と電気化学応答変化との紐づけ、モジュール電池特性の評価方法での課題、秒速で高精度での電池状態把握が可能であること、現行の汎用特性評価法は不完全であること、汎用LIBの特徴など。
1.電池反応の基礎
1.1 反応の基礎概念(従来の電気化学反応との比較;相違点の明確化)
1)酸化還元電位、ネルンストの式、電気二重層、出力電位、inert zone電位、ネルンスト式の適用
2)ガスー格子モデル(活物質間相互作用、トポケミカル反応)
3)活物質粒子の電極反応モデル
1.2 活物質粒子の反応スキーム
1)LTO系
2)オリビン鉄系
1.3 リチウムイオンの拡散過程と拡散係数
2.電気化学反応の基礎
2.1 従来の電気化学による電流―時間曲線
2.2 さまざまな電気化学測定法
2.3 評価モデルとなる擬似等価回路
3.充放電特性
3.1 充放電曲線(エネルギー密度、レート特性)
3.2 差分曲線
3.3 Butler-Volmer式の適用?
4.LIB特性の直流各種測定法での評価
4.1 充放電曲線(エネルギー密度、レート特性)
4.2 サイクリックボルタンメトリー
4.3 パルス法
4.4 その他
5.LIB特性の交流インピーダンス測定法での評価
5.1 測定法
1)原理・特徴
2)評価モデル等価回路
3)粒子表面上膜(SEI)界面と解析用等価回路
4)擬似等価回路の各種パラメータ値
5.2 インピーダンススペクトル(EIS)
1)EISの温度、およびSOC依存性
2)3D表示化
3)SOCとSOHの評価
5.3 劣化度診断の適用
6.劣化度・寿命の電気化学的評価
6.1 OCV曲線とdV/dQ曲線
6.2 カーブフィッティング
6.3 Newmanモデル
6.4 インピーダンス特性図示(Cole-Cole plot & Bode plot)
6.5 評価用等価回路と時定数、Warburgインピーダンス特性の取扱い方(未解決?)
6.6 機械学習法
6.7 継続・再利用の仕分け方法(未解決?)
7.LIB特性の高速パルス測定法での評価
7.1 測定法
1)原理・特徴
2)評価モデル等価回路
3)擬似等価回路の各種パラメータ値
7.2 過渡応答(CP:Chronopotentiogram)
1)CPの温度、およびSOC依存性
2)3D表示化
3)SOC&SOH&温度の評価
7.3 劣化度診断の高速化
8.LIBモジュール特性の評価
8.1 モジュール評価での新たな課題
8.2 現状評価の技術
8.3 今後の対応
9.おわりに
9.1 まとめ
9.2 弊社の遂行プロジェクト、開発製品や受託事業の概要紹介
【質疑応答】 |