ペロブスカイト太陽電池の構造制御と添加剤による安定化、性能予測 セミナー
        
ペロブスカイト太陽電池の開発動向と特性改善
塗布・乾燥のトラブル対策
 

<セミナー No.509235>

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★ デバイスの耐久性向上、長寿命化へ向けて!
       添加剤の添加量、濃度、タイミングなどの使い方を解説!

ペロブスカイト太陽電池の構造制御と
添加剤による安定化、性能予測


■ 講 師

1.

滋賀県立大学 教授 博士(工学) 奥 健夫 氏
2. (国研)産業技術総合研究所  再生可能エネルギー研究センター 主任研究員 博士(工学) 西村 直之 氏
3. 早稲田大学 データ科学センター 准教授  博士(工学) 谷口 卓也 氏
■ 開催要領
日 時

2025年9月29日(月) 10:30〜1615

会 場 Zoomを利用したLive配信 ※会場での講義は行いません
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聴講料

1名につき60,500円(消費税込、資料付)
〔1社2名以上同時申込の場合のみ1名につき55,000円〕
〔大学、公的機関、医療機関の方には割引制度があります。詳しくは上部の「アカデミック価格」をご覧下さい〕

※定員になり次第、お申込みは締切となります。

■ プログラム

【10:30-12:00】

1.ペロブスカイト結晶・微細構造の安定化

●講師 滋賀県立大学 教授 博士(工学) 奥 健夫 氏

【著者】
『Solar Cells and Energy Materials』、『Structure Analysis of Advanced Nanomaterials』(De Gruyter)他

 

【習得できる知識】
・ペロブスカイト結晶の原子配列と特徴
・計算による物性予測とデバイス特性
・大気中でのデバイス形成と微細構造

【講座の趣旨】
本講座では、まずペロブスカイト結晶の原子配列を理解していく。原子配列が決定できれば、バンドギャップ、キャリア有効質量、構造安定性などが第一原理計算により予測でき、実際のデバイス特性との比較から新規太陽電池材料を探索できるようになる。また、耐久性を向上させる大気中デバイス形成と微細構造についても述べる。

1.ペロブスカイト結晶の原子配列
 1.1 MAPbI3とFAPbI3の構造
 1.2 ハライドペロブスカイト結晶の構造不安定性
 1.3 ペロブスカイト結晶・微細構造安定化への指針
 1.4 低次元・ダブルペロブスカイト
 1.5 結晶のフレキシブル性
 1.6 格子欠陥と拡散による再結晶化
 1.7 リートベルト解析による原子位置決定

2.計算による物性予測とデバイス特性
 2.1 第一原理計算による半導体物性予測
 2.2 アルカリ元素置換による物性変化
 2.3 有機分子共添加による特性変化
 2.4 Cu・アルカリ元素共置換のデバイス評価
 2.5 Cu・有機分子共置換による安定化
 2.6 Ge添加によるFAPbI3の安定化
 2.7 FAサイトのCu置換による安定化

3.大気中でのデバイス形成と微細構造
 3.1 PbCl2による140°C大気中形成
 3.2 高配向結晶膜による安定化
 3.3 FA・K添加と格子欠陥
 3.4 DPPSによる190°C形成と安定化
 3.5 高耐久DPPSホール輸送層の可能性

【質疑応答】


【13:00-14:30】

2.添加剤による新機能〜自発的ヘテロ界面制御〜

●講師 (国研)産業技術総合研究所  再生可能エネルギー研究センター 主任研究員 博士(工学) 西村 直之 氏
 

【習得できる知識】
・ペロブスカイト太陽電池の開発動向
・イオン液体の開発動向
・ペロブスカイト太陽電池の高効率化の方策
・ペロブスカイト太陽電池の高耐久化の方策

【講座の趣旨】
ペロブスカイト太陽電池への添加剤において、近年見出された新奇機能である「自発的ヘテロ界面制御」について紹介する。現在この機能は黎明期にあり、この講座ではこれからの普及に先駆けて開発動向を解説する。これら添加剤によって、従来のヘテロ界面制御プロセスを必要とせずに、ペロブスカイト太陽電池を高性能化させることが可能になる。特に、この機能を指向した新系統イオン液体の開発動向などについて講義する。

1.ペロブスカイト太陽電池の積層構造
 1.1 ペロブスカイト太陽電池Introduction
 1.2 ペロブスカイト太陽電池の積層構造:ヘテロ界面制御の重要性
 1.3 ヘテロ界面制御の代表例:ペロブスカイト表面安定化
 1.4 添加剤による新機能〜自発的ヘテロ界面制御〜

2.正孔輸送材料への添加剤の開発動向
 2.1 従来の課題: Liの使用
 2.2 Li-free添加剤としてのイオン液体の開発動向

3.第一級有機アンモニウムからなるイオン液体(RA-TFSI)を正孔輸送材料への添加剤とした自発的ペロブスカイト表面安定化
 3.1 RA-TFSIの原型: OA-TFSIによる太陽電池の高効率化・高耐久化
 3.2 RA-TFSIの反応性制御
 3.3 EA-TFSIによるプロセスウインドウ拡張
 3.4 PTAA正孔輸送材との組み合わせを指向したPEA-TFSI
 3.5 RA-TFSIと同様の効果を示す正孔輸送材溶液のone-pot合成

4.ペロブスカイト層への添加剤による自発的ヘテロ界面制御
 4.1 MACl添加剤による自発的ヘテロ界面制御機能の解明
 4.2 MABF4添加剤のFAPbI3ペロブスカイトへの適用による自発的ヘテロ界面制御
 4.3 その他の添加剤による自発的ヘテロ界面制御の開発動向

【質疑応答】


【14:45-16:15】

3.プロセスインフォマティクスによる
   ペロブスカイト太陽電池の性能予測

●講師 早稲田大学 データ科学センター 准教授  博士(工学) 谷口 卓也 氏

【略歴】
非営利型一般社団法人 製造業AI普及協会 参事

 

【習得できる知識】
・ペロブスカイト太陽電池におけるプロセス情報の定量的意義
・データ駆動科学の有効性と現実的限界
・ベイズ最適化による実験計画の効率化

【講座の趣旨】
 本講演ではデータ駆動型科学の強力な手法であるプロセスインフォマティクス(PI)の基礎から実践までを解説する。試行錯誤に頼りがちな従来の材料・プロセス開発から脱却し、より少ない実験回数で高性能・高安定なデバイスを実現するための新たなアプローチを提示する。まず、ペロブスカイト太陽電池の性能予測に関する我々の研究事例を紹介する。公開データベースの解析から、材料組成情報のみならずプロセス情報がいかに性能予測において重要であるかを定量的に示すと共に、データセットに内在するデータ縮退が予測精度に与える限界についても議論する。
 次に、多次元パラメータ空間を効率的に探索するための手法として知られているベイズ最適化を、光駆動有機結晶に適用した研究事例を紹介する。複雑な実世界の実験において、ベイズ最適化がいかにして試行回数を削減し、目的性能の最大化を達成したかを示す。最終的に、ペロブスカイト研究が直面する課題へのアプローチとして、ベイズ最適化の応用可能性を展望する。

1.ペロブスカイト太陽電池における物性科学とプロセス
 1.1 プロセス情報を考慮した性能予測の重要性
 1.2 プロセスインフォマティクスによる予測モデルの構築
 1.3 プロセス情報の定量的評価
 1.4 性能予測の限界
 1.5 実験との整合性比較

2.プロセスインフォマティクスによる実験の効率化
 2.1 ベイズ最適化
 2.2 光駆動有機結晶
 2.3 ベイズ最適化による発生力の最大化
 2.4 ベイズ最適化の有効性評価

3.まとめと今後の展望
 3.1 まとめ
 3.2 PIと自動化実験の融合

【質疑応答】