【講座の趣旨】
出荷可否判定のための膨大な記録類を少人数のQA員でつぶさにチェックするのは難しい。しかも、現場作業や製剤技術に疎いQA員では、データ改ざん/隠ぺいなどの不正を暴くことはできない。結局は、現場作業員との信頼関係を深めること、データ改ざん/隠ぺいを起こさない企業風土を醸成することが出荷判定の効率化になる。そのためには具体的に何を実施すべきかを提案する講座である。
◆習得できる知識
・PQS、QRM、知識管理とは何か
・なぜ品質不正がおきるのか
・品質不正をなくすための行政の動向
・隠ぺいを暴くための製造指図記録書への工夫
・適切なQuality Cultureを醸成するために必要なこと
【講座内容】
1.最新GMPが要請する医薬品品質システム(PQS)とは
1.1 リスクベースGMPへの転換
1.2 医薬品の品質保証に必要なこと
1.3 PQSは全職員が参画して実施するもの
1.4 QRM(品質リスクマネジメント)および知識管理とは
2.そもそも出荷判定者(AP)とは
2.1 PIC/SのAP(Authorised Person)と我が国出荷判定者の相違点
2.2 出荷判定者の責務と必要な能力
2.3 製造委託時の留意点
3.QAの責務完遂能力に問題はないか
3.1 PQSにはDI(データの完全性)が必須要件
3.2 製造を知らないQAでは不正は見抜けない
3.3 製造所をつぶさに監視できるのはサイトQA
3.4 原薬調達の現状(カントリーリスク)
3.5 外国の原料供給業者に対する留意点
4.データ改ざんを起こす企業の特徴
4.1 体質(Quality Culture)に問題のある企業
4.2 データ改ざん/捏造を起こす遠因
4.3 ミスを叱責すると、隠ぺい/捏造に走る
5.品質不正事案に対する行政の動き
5.1 少量多品種構造の改善へ
5.2 薬価制度の改革
5.3 隠れて製法変更させないために(ICH−Q12ガイドライン)
6.自分勝手な作業をさせないために
6.1 SOPの不備はないか
6.2 適正な教育訓練がなされているか
6.3 再教育はミスの再発防止策にならない
7.指図記録書の見直し
7.1 製造指図記録書の適切なフォーマット
7.2 製造指図書はSOPの省略版、省略化による問題
7.3 製造部門が隠したがるトラブルを検出するには
7.4 時刻記録は重要
7.5 異常時に作業者は戸惑う
8.現場作業員の気づきとその記録の重要性
8.1 そもそも逸脱管理の目的は何?
8.2 現場では「小さい異常」は日常茶飯事
8.3 ちょっとした情報の顕在化と記録は重要
8.4 製造部門は特記事項を書きたがらない
8.5 ちょっとした異常への対処法
9.現場作業員の人財育成が重要
9.1 労働観は変化した
9.2 あるべき教育訓練
9.3 理由・根拠を示すことが重要
9.4 GMP集合教育を「対等・協働型」に
10.データの信頼性(DI)を確保するためには
10.1 管理されていない文書の使用は禁止する
10.2 ALCOA+は5ゲン(3現+原理、原則)で確認
10.3 ダブルチェックの2つの目的
10.4 不適切指導事例
【質疑応答】
●略歴●
元塩野義製薬株式会社製造本部次長
経口剤の連続生産技術開発や凍結乾燥注射剤の工業化検討、無菌製剤棟の構築プロジェクト遂行、アンプル注射剤・点眼剤製剤包装一貫工場の工場長、中国を始め国内外関連企業への技術支援業務に従事。
退職後は国内および台湾の後発医薬品・医薬部外品・健康食品企業の技術支援、ならびにGMP関連書籍の執筆、講演活動を実施。
出版物として「凍結乾燥のバリデーション」(共著)、「GMP・バリデーション事例全集」(共著)、「現場で直ぐ役に立つ製品標準書作成マニュアル」(共著)、「現場で直ぐ役に立つ 実務者のためのバリデーション手法」(共著)など多数。 |