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【講座主旨】
日本の費用対効果評価(HTA)制度は2019年4月の本格運用開始から6年が経過し、指定72品目・市場規模合計約1.5兆円という実績を積み上げてきた。評価終了品目の78.4%で価格引き下げが実施される一方、令和8年1月には分析ガイドライン第5版が了承され、比較対照技術の選定方針の明確化、費用増加区分への新価格調整方式の導入など、制度は現在も改革の途上にある。介護費用の取り扱いや診療ガイドラインとの統合、国際的な制度整合など、実務上なお解決すべき論点も少なくない。
こうした中、国際学会ISPORは生成AI(Generative AI)をHEOR(医薬品経済学・アウトカム研究)分野におけるTop
10トレンドの第1位に選出するなど、生成AIの活用がHTA実務の質・効率を左右する重要なテーマとして急速に浮上している。しかし日本の費用対効果評価制度には、生成AI活用に関する公式な指針は現時点で存在せず、実務家自身が最新知見を踏まえて活用方針を検討する必要がある。
本講演では、実データに基づく日本のHTA制度の到達点と最新の制度改革動向を整理したうえで、費用対効果評価をめぐって残された課題(介護費用の統合、診療ガイドラインとの連携、国際的な制度比較)を概観する。そのうえでISPORの最新報告や国内外の実例を踏まえ、システマティック・レビュー、リアルワールドエビデンス分析、健康経済モデリングといった各フェーズにおける生成AIの具体的な活用方法と、その限界・留意点を紹介したい。
◆習得できる知識◆
・生成AIの活用を含めた費用対効果評価
・製品事例が問う:介護費用のHTA統合と認知症領域の費用対効果評価
・費用対効果評価と診療ガイドライン統合の現在地:乳癌・高血圧学会の実践から
・QALYショートフォールの日本制度への導入可能性:重症度係数との比較検討
【講座内容】
1.費用対効果評価(HTA)制度とは?
・医療技術評価(HTA)の基本的な考え方
・QALY・ICERの算出方法
・QALYショートフォールと重症度配慮の国際比較(英国・ノルウェー・オランダ)
2.日本の費用対効果評価制度──実績データが示す到達点
・制度運用6年間の実績(指定72品目・評価終了51品目・価格引き下げ40品目)
・疾患領域別の特徴(腫瘍領域が最多、GLP-1受容体作動薬等の事例)
・令和8年度制度改革の骨子と分析ガイドライン第5版
3.費用対効果評価をめぐる残された課題
・介護費用の取り扱い──レケンビ・ケサンラ等、認知症領域の事例
・診療ガイドラインとの統合──EBMからVBMへ(乳癌・高血圧領域の実践)
・国際的な制度比較──EU HTA規則と共同臨床評価(JCA)
4.生成AIをどのように費用対効果評価に活用するか
・ISPORが示す3大活用領域(システマティック・レビュー/リアルワールドエビデンス/健康経済モデリング)
・健康経済モデルのコード自動生成──可能性と精度
・活用にあたっての留意点(ハルシネーション・透明性・人間による監督)
5.主要生成AIツールの比較と使い分け
・ChatGPT・Claude・Gemini・Copilot・Perplexity・NotebookLM・Elicit──7ツールの特性
・HTAの各フェーズ(文献レビュー/モデリング/報告書作成)に応じた選択指針
6.日本のHTA実務における生成AI活用への展望
・制度的ルール整備の方向性(開示要件・AIリテラシー向上)
・企業分析担当者が今から取り組めること
・ISPOR ELEVATE-GenAI等、国際的な報告ガイドラインとの整合
7.これからの費用対効果評価
【質疑応答】
●略歴
薬剤師、医学博士
東京大学公共政策大学院 非常勤講師
国際医薬経済・アウトカム研究学会(ISPOR)日本部会・理事
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