フロー合成 セミナー

                  
 
晶析プロセスの設計・制御と結晶解析手法
ファインケミカル,医薬品の連続生産プロセス
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<セミナー No 507113 (Live配信)、507165(アーカイブ配信)>
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☆ 実験室スケールから製造スケールへ!その手法の選択や効率的な進め方が学べる!
☆ パラレル化か?拡大か?スケールアップとナンバリングアップの最適な選択と成功パターンとは

フロー合成によるプロセス開発と

スケールアップ/ナンバリングアップ


■ 講師
【第1部】 

(株)カネカ Pharma & Supplemental Nutrition Solutions Vehicle Pharma部
API研究チーム 幹部職 安河内 宏昭 氏

【第2部】

静岡大学 グリーン科学技術研究所 所長・教授 間瀬 暢之 氏

【第3部】

国士舘大学 理工学部 教授 富樫 盛典 氏

■ 開催要領
日 時

2025年7月11日(金)10:30〜16:15
 
【アーカイブ(録画)配信】
  2025年7月23日(水)まで申込受付(視聴期間:7月23日(水)〜8月1日まで)

会 場

Zoomを利用したLive配信 or アーカイブ配信 ※会場での講義は行いません
 セミナーの接続確認・受講手順は「こちら」をご確認下さい。

聴講料

聴講料 1名につき60,500円(消費税込/資料付き)
 〔1社2名以上同時申込の場合のみ1名につき55,
000円〕
 〔大学、公的機関、医療機関の方には割引制度が
あります。詳しくは上部の「アカデミック価格」をご覧下さい〕

■ プログラム

【10:30〜12:00】

【第1部】 フロー合成反応を活用した効率的な医薬品製造プロセスの開発

(株)カネカ Pharma & Supplemental Nutrition Solutions Vehicle Pharma部
API研究チーム 幹部職 安河内 宏昭 氏

 

【講座主旨】

医薬品製造は,これまで大型の反応缶を用いたバッチ法にて行われることが殆どであったが,本方式はいくつかの問題点を有している.バッチ法による製造では,工程間や各中間体において保管や輸送期間が発生するめに生産期間が延長し,結果として薬剤調達までのリードタイムが長期化する原因となっている.また,人が介する作業が多いことからヒューマンエラーによる品質不良の増加も顕在化しており,医薬品産業が抱える課題である「薬剤の安定調達」といった観点からも問題となっている.近年,この解決法としてフロー合成反応を活用した連続生産方式が注目されている.連続生産方式では,全ての単位操作を統合することで各中間体の待機期間を大幅に削減できるだけでなく,設備のコンパクト化による生産サイトの集約化が容易となり,輸送期間の削減も期待できる.また,自動化が容易であると共にPAT(Process Analytical Technology)などのIn-line分析技術を組み込むことで高度な品質管理が可能となり,人為的ミスによる製品の品質不良を大幅に削減できる.従って,連続生産方式の導入は,薬剤の欠品リスク低減といった社会問題の解決に繋がる新たな製造方式として期待されている.2023年にはICH Q13にて連続生産に関するガイドラインが採択され,医薬品規制当局より連続生産の指針が正式に示されており,今後,医薬品製造への連続生産の活用が加速するものと考えられる.
医薬品製造への連続生産方式導入の流れを受け,当社では連続生産方式の鍵となるフロー合成反応に早期から着目し,その技術開発と実装化に向けた取り組みを推進してきた.本講演ではフロー合成反応を活用した医薬品プロセスの開発事例と,フロー反応装置の実用的な洗浄方法確立に向けた取り組みについて紹介する.

【講座内容】

1.医薬品業界における連続生産・フロー合成反応について
2.フロー合成の実装化に向けた当社の取り組みについて
3.医薬品プロセスの開発事例-1
 3.1 現行法(バッチ処方)の課題
 3.2 PATを活用したフロー合成反応処方の確立
 3.3 スケールアップの実証

4.医薬品プロセスの開発事例-2
 4.1 検討課題
 4.2 フロー合成反応処方の最適化検討
 4.3 ベンチ設備での実証実験
5.フローリアクター装置の実用的なメンテナンス法の開発
 5.1 フローリアクター洗浄時の課題
 5.2 洗浄方法確立検討
 5.3 実生産での洗浄効果の実証
6.まとめ

【質疑応答】

===講師プロフィール======================

専門分野:有機合成化学、プロセス化学、フロー合成化学
学位:博士(工学)
略歴・活動・著書など:
[略 歴]
2005年3月 関西学院大学大学院 理工学研究科 修士課程修了
2005年4月 株式会社 カネカ 入社
以後、低分子医薬品原薬及び中間体のプロセス開発・スケールアップ研究・フロー合成化学・製造設備導入に関する業務に従事
2020年3月 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科修了 
博士(工学)取得
2021年4月より現職
[主な著書]
1.“Safe and Efficient Phosgenation Reaction in a Continuous Flow Reactor.” Org. Process Res. Dev. 2018, 22, 247-251.
2.“Efficient and Practical Deacylation Reaction System in a Continuous Packed-Bed Reactor.” Org. Process Res. Dev. 2019, 23, 654-659.
3.「連続フロー反応による医薬品中間体の革新的製造プロセスの開発」 有機合成化学協会誌 2020, 78(3), 240-249.
4.“Industrialization of Continuous Flow Process for Pharmaceutical Industry.” Oggi-Chemistry Today 2021, 39(3), 34.
5.“Application of Continuous-Flow Processing in Multistep API and Drug Syntheses.” Flow and Microreactor Technology in Medicinal Chemistry, Wiley‐VCH, CHAPTER 9, Pages:311-332 (published in 2022).
6.“Establishment and Development of Organolithium-Mediated Continuous Flow Process for Intermediate of Canagliflozin” Org. Process Res. Dev. 2024, 28, 1814-1821.    他4件
[受賞歴等]
2017年 JSPC(日本プロセス化学会)優秀賞
2018年 有機合成化学協会賞(技術的なもの)
2020年 CPhI Pharma Awards (Finalist)
: Manufacturing Technology and Equipment

 

【13:00〜14:30】

【第2部】 実験計画法によるスケールアップフロー実験の効率化

静岡大学 グリーン科学技術研究所 所長・教授 間瀬 暢之 氏

 

【講座主旨】

研究において、最も労力と時間を要するのが「実験の実施」です。特にフロー合成における反応条件の最適化は、精密な温度・流量・滞留時間などの制御が求められる一方で、膨大なパラメータ空間の探索が必要となり、手作業では限界があります。本講座では、こうした課題に対して「統計学的手法×フロー合成」というアプローチで効率的な条件最適化を実現する方法を紹介します。
まず、定常状態フロー法による「9+4+1法」では、わずか13回の実験から応答曲面を作成し、14回目の実験で最適条件に到達するという手法について、マイクロ波加熱による高速反応との併用でkg/日スケールまでスケールアップした事例を解説します。さらに、擬定常状態グラジエント法では、反応条件を連続的に変化させながら機械学習でデータを処理することで、3〜4変数の最適化を5〜7回の実験で実現しました。
また、従来困難とされてきた離散型変数(溶媒、基質など)の最適化にも踏み込み、数千の分子記述子から反応性に関わる変数を抽出し、反応収率を高精度で予測する手法を紹介します。最終的に、反応の性質に応じたプロセス開発が、実験者の知識と経験に依存することなく再現可能かつ迅速に行える「実験の実施を触媒するツール」として確立される展望についても触れます。
本講座では、化学・プロセス開発・生産技術に携わる研究者や技術者が、統計的手法や機械学習と実験設計の融合によって、どのように実験効率と反応精度を両立できるか、その実践例と共にお伝えします。

【講座内容】

1.背景と課題の整理
 ・実験実施の負担と最適条件探索の非効率性
 ・OVAT法とDoEの比較、反応空間の取りこぼし問題
2.定常状態法「9+4+1法」による最適化手法
 ・最小限の実験で応答曲面を構築
 ・マイクロ波加熱との併用によるkg/dayスケール事例
3.グラジエント法 × 機械学習による多変数同時最適化
 ・擬定常状態での連続データ取得
 ・数回の実験で最適反応条件予測を実現
4.溶媒など離散型変数の最適化手法
 ・分子記述子+機械学習による溶媒予測モデル構築
 ・高収率溶媒の早期特定事例
5.展望と未来への実装
 ・自動化・リアルタイム分析・PATとの連携
 ・「誰でも使える最適化ツール」への進化と社会実装可能性

【質疑応答】

==講師プロフィール======================

専門分野:有機化学、プロセス化学、分子触媒化学
学位:工学(博士)
略歴・活動・著書など:
[略歴]
学歴
1994年 名古屋工業大学 工学部 応用化学科 卒業
1996年 名古屋工業大学大学院 工学研究科 物質工学専攻 博士前期課程 修了
1999年 名古屋工業大学大学院 工学研究科 物質工学専攻 博士後期課程 修了
1999年 博士(工学)@名古屋工業大学
「立体選択的ラジカル反応の研究」(指導教員:融健教授)
職歴
1999年 静岡大学 工学部 物質工学科・助手
(高部圀彦研究室 生体触媒、香料、着臭剤の研究に従事)
2003年 文部科学省 在外研究員 The Scripps Research Institute
(Carlos F. Barbas, III研究室 有機分子触媒、蛍光センサーの研究に従事)
2007年 静岡大学 工学部物質工学科・准教授
2011年 静岡大学 若手重点研究者
2014年 静岡大学大学院 工学研究科 化学バイオ工学専攻・教授
2016年 静岡大学 研究フェロー
2022年 静岡大学 グリーン科学技術研究所・所長

[受賞歴]
1999年 有機合成化学協会 エーザイ研究企画賞
2006年 有機合成化学協会 東海支部奨励賞
2009年 東海化学工業会 学術賞

[最近取り組んでいる研究テーマ]
1. ファインバブル(FB)を用いた新規有機合成手法の開発
2. 連続フロー合成によるファインケミカルズ合成(実験計画法と機械学習)
3. 超臨界二酸化炭素と有機分子触媒を利用したポリ乳酸の高純度合成技術
4. バイオインスパイアード有機分子触媒による環境調和型物質合成
5. OFF-ON 型蛍光センサーによる新規触媒探索法の開発

 

【14:45〜16:15】

【第3部】ナンバリングアップの進め方と関連する技術

国士舘大学 理工学部 教授 富樫 盛典 氏

 

【講座主旨】

企業での実用研究と大学での教育の経験を生かして、フロー合成リアクタ技術の基本をわかりやすく紹介します。また、フロー合成の普及を目指して、「フロー合成におけるマイクロ化のメリット・デメリット」、「フロー合成の実験方法」、「フロー合成リアクタの試作と混合性能評価の実験方法」、「フロー合成による化学プロセス革新事例」、「シミュレーション活用の重要性」、「量産化に向けたナンバリングアップの実際」、「実証プラント化の動向」、および「Industry 4.0および Society5.0と将来展望」の順番で、熱く講述します!

【講座内容】

1.フロー合成におけるマイクロ化のメリット・デメリット
 1.1 拡散の高速化のメリット
 1.2 圧力損失と表面張力によりデメリット
 1.3 ナンバリングアップによる量産化のメリット

2.フロー合成の実験方法
3.フロー合成リアクタの試作と混合性能評価の実験方法
 3.1 リアクタの試作方法
 3.2 試作した混合性能評価の実験方法

4.フロー合成による化学プロセス革新事例
5.シミュレーション活用の重要性
6.量産化に向けたナンバリングアップの実際
 6.1 内部ナンバリングアップと外部ナンバリングアップ
 6.2 ナンバリングアップによる量産

7.実証プラント化の動向
8.Industry 4.0および Society5.0と将来展望

【質疑応答】

===講師プロフィール======================

学位:博士 (工学)
専門:・マイクロ化学プロセス
   ・マイクロ流体工学
   ・医用バイオ分析
   ・シミュレーション工学
   ・機械学習
   ・ドローンの資格
   ・ドローン検定1級 (ドローン検定協会)
   ・操縦技能証明証 (日本UAS産業振興協議会)
   ・安全運航管理者証明証 (日本UAS産業振興協議会)
[経歴]
1995年 東京大学 大学院工学系研究科 博士課程修了 (工学博士)
1995年 株式会社 日立製作所 機械研究所 入社
2001年 株式会社 日立製作所 機械研究所 主任研究員
2013年 株式会社 日立製作所 日立研究所 主管研究員
2015年 株式会社 日立製作所 研究開発グループ 主管研究員
2020年 国士舘大学 理工学部 教授
[学協会]
2017年 日本機械学会 フェロー
2018年 日本流体力学会 理事
日本ドローンコンソーシアム
日本UAS産業振興協議会
日本アロマ環境協会
化学工学会
化学とマイクロナノシステム学会
[受賞]
2012年 化学工学会「技術賞」
2013年 日本化学会 BCSJ「Selected Paper賞」
2014年 日本機械学会「論文賞」
2015年 日本機械学会 流体工学部門 「フロンティア表彰」
2016年 ICCES2016「Excellent Paper Award」
2017年 日本機械学会 フェロー
2019年 日本流体力学 フェロー

 


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