【本講座で学べること】
・膜分離に関する基礎知識
・細孔径評価技術(バブルポイント,ナノパームポロメトリー,ガス透過法)
・ガス分離膜の透過性評価手法(純ガス,混合ガス)
・シリカ系多孔膜の技術背景・特徴
・シリカ系多孔膜の細孔径制御技術,ガス分離特性の研究動向
【講座概要】
地球レベルでの環境負荷が問題となる現在では,持続可能な社会を構築するためにどのような貢献ができるかが重要です。膜分離工学は,化学や医薬などすべての工業プロセスで重要な役割を果たし,水処理やCO2分離のような環境問題の解決においてもキーテクノロジーとなるため,国連が定めた,Sustainable
Development Goals(SDGs,持続可能な開発目標)への貢献が大きい技術です。当研究室では,シリカ,チタニアなどの無機材料,および有機・無機ハイブリッド材料に着目し,製膜・評価技術の確立,透過・分離特性の検討を通じてあらゆる膜分離プロセスについて基礎から実用レベルの研究を行っています。本講演では,膜分離のなかでガス分離を中心に,無機材料であるシリカ系多孔膜の製膜法,細孔径評価技術,透過装置の概要を中心に解説します。また,シリカ系多孔膜のサブナノレベルでの細孔構造制御法,アモルファス構造の安定化(耐熱性,水熱安定性),水素,二酸化炭素分離特性について当研究室の研究成果を中心に紹介します。
1.ガス分離膜の細孔径・ガス透過性評価手法
1.1 ゾル−ゲル法によるシリカ多孔膜(ゾル調製,製膜法)
1.2 細孔径評価技術(バブルポイント,ナノパームポロメトリー,ガス透過法)
1.2.1 バブルポイント法の原理
1.2.2 ナノパームポロメトリー法の原理,親疎水性評価
1.2.3 ガス透過法
(a)ガス透過率の測定:装置概要,透過率の算出法(擬定常法,容積法)
(b)2成分混合ガスの分離:分離予想線と分離限界線
2.Modified Gas Translation
(m-GT) modelによる細孔径の算出法
2.1 多孔膜における気体透過メカニズム
2.2 気体透過率の分子径依存性によるサブナノ構造評価
2.3 Normalized Knudsen-based Permeance (NKP)法の提案
2.3.1 規則性材料(ゼオライト)を用いたモデルの検証
2.3.2 気体選択性の予測
3.シリカ系多孔膜の細孔構造・ガス透過性制御とその応用
3.1 代表的な水素分離系
3.2 シリカ系多孔膜の技術背景・特徴
3.3 シリカ系材料による水素分離膜の作製
3.3.1 水素分離:有機ハイドライド脱水素,アルカン脱水素系
(a)オルガノシリカによる細孔径制御:スペーサー法
(b)耐熱性オルガノシリカ構造設計
3.3.2 水素分離:メタン水蒸気改質,アルコール改質系
(a)カチオン,アニオンドープによる細孔径制御
(b)Pd-SiO2 mixed-matrixによるH2親和性制御
3.4 シリカ系多孔膜による二酸化炭素分離の作製
3.4.1 アミン系シリカによる細孔構造制御,表面改質(グラフト化)
3.4.2 第1〜3級アミンの吸着力がCO2透過性に及ぼす影響
4.シリカ系多孔膜の特徴,想定される分離対象
【質疑応答】
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