ガス分離膜の特性、作製方法と膜分離プロセスセミナー
        
プロセスインフォマティクスにおけるデータ解析・モデリングと応用展開
CO2の有効利用技術の開発
 
<セミナー No.510405>
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★各種分離膜の特性・メカニズム・性能と膜分離プロセスの応用例を詳解

ガス分離膜の特性、作製方法と膜分離プロセスの開発
〜高分子、シリカ、ゼオライト、MOF〜


■ 講師
1. 山口大学 大学院創成科学研究科 教授 博士(工学) 田中 一宏 氏
2. 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 教授 博士(工学) 金指 正言 氏
3. 芝浦工業大学 工学部 物質化学課程 化学・生命工学コース担当 教授 博士(工学) 野村 幹弘 氏
4. 関西大学 環境都市工学部 エネルギー・環境工学科 教授 博士(工学) 田中 俊輔 氏
■ 開催要領
日 時
2025年10月15日(水) 10:15〜16:40
会 場 ZOOMを利用したLive配信 ※会場での講義は行いません
Live配信セミナーの接続確認・受講手順は「こちら」をご確認下さい。
聴講料 1名につき66,000円(消費税込・資料付き) 
〔1社2名以上同時申込の場合1名につき60,500円(税込)〕
〔大学、公的機関、医療機関の方には割引制度があります。詳しくは上部の「アカデミック価格」をご覧下さい〕
■ プログラム

<10:15〜11:35>

1.高分子膜のガス透過メカニズムと膜分離プロセス

山口大学 田中 一宏 氏

 

【本講座で学べること】
・膜ガス分離の基礎
・高分子膜のガス透過メカニズム
・高分子膜のガス透過分離特性
・分離膜と膜モジュールの構造および特徴
・膜ガス分離プロセスの例

【講座概要】
膜ガス分離法は原理的に消費エネルギーが少なく、低炭素社会の構築に貢献する分離技術の一つである。現在普及しているガス分離膜はほとんどが高分子膜であるが、なぜ、非多孔質膜である高分子膜でガス分子が分離できるのか、という疑問の声は多い。本講座では、化学産業の技術者が理解を深めることを目的に、大学等の講義で扱われることがほとんどない膜ガス分離と、一見不思議な高分子膜によるガス分子の透過メカニズムについて、解説する。

1.膜ガス分離の基礎
 1.1 膜ガス分離の概要と特徴
 1.2 透過係数とパーミアンス
 1.3 分離係数

2.高分子膜のガス透過メカニズム
 2.1 高分子鎖の凝集体
 2.2 溶解拡散機構
 2.3 ガスの分子サイズと凝縮性
 2.4 ガス透過特性
 2.5 ゴム状態とガラス状態
 2.6 ミクロ孔膜と非多孔質膜の孔

3.高分子膜のガス分離性能
 3.1 高分子膜の性能限界
 3.2 PIM膜
 3.3 MMM
 3.4 PEO膜

4.分離膜と膜モジュール
 4.1 膜の断面方向
 4.2 膜の種類と製膜法
 4.3 膜モジュールの種類
 4.4 膜モジュールの性能

5.膜によるガス分離プロセス
 5.1 副生ガスからの水素の回収
 5.2 高純度窒素ガスの製造
 5.3 CO2/CH4分離
 5.4 CO2/N2分離


【質疑応答】


<12:20〜13:40>

2.シリカ系材料によるガス分離膜の設計と透過特性評価

広島大学 金指 正言 氏

 

【本講座で学べること】
・膜分離に関する基礎知識
・細孔径評価技術(バブルポイント,ナノパームポロメトリー,ガス透過法)
・ガス分離膜の透過性評価手法(純ガス,混合ガス)
・シリカ系多孔膜の技術背景・特徴
・シリカ系多孔膜の細孔径制御技術,ガス分離特性の研究動向

【講座概要】
地球レベルでの環境負荷が問題となる現在では,持続可能な社会を構築するためにどのような貢献ができるかが重要です。膜分離工学は,化学や医薬などすべての工業プロセスで重要な役割を果たし,水処理やCO2分離のような環境問題の解決においてもキーテクノロジーとなるため,国連が定めた,Sustainable Development Goals(SDGs,持続可能な開発目標)への貢献が大きい技術です。当研究室では,シリカ,チタニアなどの無機材料,および有機・無機ハイブリッド材料に着目し,製膜・評価技術の確立,透過・分離特性の検討を通じてあらゆる膜分離プロセスについて基礎から実用レベルの研究を行っています。本講演では,膜分離のなかでガス分離を中心に,無機材料であるシリカ系多孔膜の製膜法,細孔径評価技術,透過装置の概要を中心に解説します。また,シリカ系多孔膜のサブナノレベルでの細孔構造制御法,アモルファス構造の安定化(耐熱性,水熱安定性),水素,二酸化炭素分離特性について当研究室の研究成果を中心に紹介します。

1.ガス分離膜の細孔径・ガス透過性評価手法
 1.1 ゾル−ゲル法によるシリカ多孔膜(ゾル調製,製膜法)
 1.2 細孔径評価技術(バブルポイント,ナノパームポロメトリー,ガス透過法)
  1.2.1 バブルポイント法の原理
  1.2.2 ナノパームポロメトリー法の原理,親疎水性評価
  1.2.3 ガス透過法
  (a)ガス透過率の測定:装置概要,透過率の算出法(擬定常法,容積法)
  (b)2成分混合ガスの分離:分離予想線と分離限界線

2.Modified Gas Translation (m-GT) modelによる細孔径の算出法
 2.1 多孔膜における気体透過メカニズム
 2.2 気体透過率の分子径依存性によるサブナノ構造評価
 2.3 Normalized Knudsen-based Permeance (NKP)法の提案
  2.3.1 規則性材料(ゼオライト)を用いたモデルの検証
  2.3.2 気体選択性の予測

3.シリカ系多孔膜の細孔構造・ガス透過性制御とその応用
 3.1 代表的な水素分離系
 3.2 シリカ系多孔膜の技術背景・特徴
 3.3 シリカ系材料による水素分離膜の作製
  3.3.1 水素分離:有機ハイドライド脱水素,アルカン脱水素系
  (a)オルガノシリカによる細孔径制御:スペーサー法
  (b)耐熱性オルガノシリカ構造設計
  3.3.2 水素分離:メタン水蒸気改質,アルコール改質系
  (a)カチオン,アニオンドープによる細孔径制御
  (b)Pd-SiO2 mixed-matrixによるH2親和性制御
 3.4 シリカ系多孔膜による二酸化炭素分離の作製
  3.4.1 アミン系シリカによる細孔構造制御,表面改質(グラフト化)
  3.4.2 第1〜3級アミンの吸着力がCO2透過性に及ぼす影響

4.シリカ系多孔膜の特徴,想定される分離対象


【質疑応答】


<13:50〜15:10>

3.ゼオライト膜による分子ふるいガス分離の可能性

芝浦工業大学 野村 幹弘 氏

 

【本講座で学べること】
・ゼオライト膜合成の基礎
・ゼオライト膜透過の基礎
・代表的なゼオライト膜透過特性
・ゼオライト膜の簡易的な後処理
・ゼオライト膜の応用

【講座概要】
ゼオライトは、結晶性の多孔質材料であり、結晶構造に基づいた数オングストロームレベルの細孔をもつ。そのため、ゼオライト結晶を、多孔質セラミック上に緻密に配置することで、分子ふるい性能をもつ膜が得られる。本講座では、ゼオライト膜合成の基礎、ガス透過方法の基礎に関して講演を行う。代表的なゼオライトであるMFIやCHAによる、水素分離や二酸化炭素分離の実例を紹介する。ゼオライト膜の応用として、後処理による分子ふるい性の制御と膜反応器を用いた水素製造や二酸化炭素変換経路の合理化についても、簡単に紹介を行う。

1.ゼオライト膜の合成
 1.1 水熱合成法
 1.2 セラミック基材の影響

2.ゼオライト膜のガス透過
 2.1 ガス透過試験
 2.2 水素透過
 2.3 二酸化炭素透過

3.ゼオライト膜の後処理
 3.1 アルコキシド処理
 3.2 新疎水性制御

4.ゼオライト膜の膜反応器
 4.1 水素キャリアへの応用
 4.2 二酸化炭素資源化への応用


【質疑応答】


<15:20〜16:40>

4.MOF分離膜の特性、製膜技術とガス分離性能

関西大学 田中 俊輔 氏

 

【本講座で学べること】
・MOFの合成と基本物性の把握
・MOFの形態制御技術の習得
・MOFの評価方法の習得
・応用例(吸着、膜分離)の把握
・国内外の研究開発状況の把握

【講座概要】
次世代の多孔性材料として注目されている金属有機構造体(Metal-Organic Framework:MOF)について、合成・評価方法の基礎から、ガス分離の応用までを解説します。また、MOFの形態制御の一つとして薄膜化技術を取り上げ、膜分離法への応用に関する国内外の開発状況を概観します。

1.Metal-Organic Framework(MOF)の概要

2.MOFの合成方法と吸着特性

3.MOFベース分離膜
 3.1 MOF製膜の留意点と様々な製膜方法
 3.2 MOF多結晶膜における構造柔軟性
 3.3 MOF-based Mixed Matrix Membrane(MMM)
  3.3.1 MOFフィラー
  3.3.2 ポリマーマトリクス
  3.3.3 フィラー/マトリクスの界面関係
  3.3.4 分散課題
 3.4 MOFベース膜のCO2分離性能と課題

4.まとめ(実用化への課題と展望)


【質疑応答】