|
【講座主旨】
原薬の「期限管理」は、単に有効期限やリテスト日を設定して終わるものではありません。安定性試験データに基づいて適切な期間を設定し、その根拠を説明できる状態にするとともに、期限到来時の再試験、在庫・ラベル・システム管理、使用可否の判断、変更・逸脱・OOSへの対応まで、実際の現場運用を一貫して管理することが求められます。
特に原薬では、製剤における「有効期間(shelf life)」と、再試験によって規格への適合性を確認し、その後の使用可否を判断する「リテスト期間(retest
period)」を正しく理解し、承認・登録情報、規格、安定性試験データ、保管条件、実際の使用実態との整合性を確保することが重要です。一方、現場では、「リテスト日を迎えた原薬をどう扱うのか」「再試験結果が規格内であれば使用を継続してよいのか」「リテスト期間をどのように延長するのか」「安定性試験データが十分でない場合にどう判断するのか」「委託先・原薬メーカー・製剤メーカーの責任分担をどう整理するのか」など、判断に迷いやすいケースが少なくありません。
本講演では、こうした実務上の疑問に焦点を当て、原薬の期限管理に必要な考え方と具体的な運用方法を体系的に解説します。具体的には、以下のポイントを取り上げます。
◆有効期間とリテスト期間の考え方と使い分け
◆安定性試験データから期間を設定する際の基本的な考え方
◆安定性データのトレンド評価と外挿を行う際の留意点
◆リテスト日到来時の再試験、判定、使用継続・延長の考え方
◆期限管理と在庫、ラベル、ERP・LIMS等のシステム管理との整合
◆規格変更、製造所変更、保管条件変更等の変更管理との関係
◆逸脱・OOS・安定性試験結果が期限管理に与える影響
◆原薬メーカー、購入者、保管・使用部門、委託先の責任分担
また、GMP査察・当局査察で説明を求められやすいポイントと準備すべき記録また、査察対応では、「なぜこの有効期間・リテスト期間を設定したのか」「その期間設定を裏付ける安定性試験データは何か」「リテスト日を迎えた原薬について、誰が、どの基準で使用可否を判断したのか」「実際の運用は承認・登録情報や手順書と整合しているか」といった点を、根拠資料に基づいて一貫して説明できることが重要になります。
本講演では、規制・ガイドラインの考え方を確認するだけでなく、**「実際に現場ではどう管理するのか」「判断に迷ったとき、何を確認すべきか」「査察でどのように説明できる状態にしておくべきか」**という実務者の視点を重視して解説します。
原薬メーカーにおける品質保証・品質管理担当者はもちろん、原薬を購入・受入・保管・使用する製薬企業の品質保証、品質管理、製造、サプライチェーン、薬事関連部門の方にも、日常の期限管理を見直し、より説明可能で一貫性のある管理体制を構築するために活用いただける内容を目指します。
【講座内容】
1.原薬の期限管理を取り巻く基本的な考え方
・原薬における「有効期間」と「リテスト期間」の違い
・Shelf lifeとRetest periodの基本概念
・原薬の品質を保証するための期限管理の位置付け
・GMP、承認・登録情報、規格・試験法との関係
・国内外の規制・ガイドラインにおける基本的な考え方
2.安定性試験とリテスト期間の設定
・原薬の安定性試験に関する基本要求
・長期保存試験・加速試験・必要に応じたその他の試験
・安定性試験項目・規格設定の考え方
・安定性試験データのトレンド評価
・リテスト期間設定時のデータ評価
・統計的評価と外挿の考え方
・リテスト期間を延長する場合の考え方
・新規製造所・新規製造工程・変更時の安定性評価
3.リテスト期間・有効期間の設定における実務上の留意点
・「データがある期間」と「設定できる期間」の考え方
・安定性試験データからどこまで判断できるか
・規格逸脱リスクと期間設定
・製造スケール、容器・包装、保管条件の影響
・複数製造所・複数製造スケールにおける考え方
・ブラケッティング、マトリキシング等を利用する場合の留意点
・海外サイト・海外原薬における期限管理との整合性
4.期限到来時の適正運用
・リテスト期限到来時の基本的な業務フロー
・再試験の実施と判定
・再試験結果に基づく使用可否判断
・原薬メーカーと製剤メーカー間の情報共有・責任分担
5.安定性試験結果と実際の運用の整合性
・設定した期間と実際の保管状況の確認
・保管条件逸脱が発生した場合の評価
・温度逸脱・輸送逸脱とリテスト期間への影響
・原薬の製造・保管・使用履歴とのトレーサビリティ
6.査察・監査で確認される期限管理
・GMP査察で想定される確認事項
・「なぜこのリテスト期間なのか」を説明するための根拠
・安定性試験データと設定期間の説明
・期限到来後の再試験・使用判断に関する記録
・査察で指摘につながりやすい事例と改善のポイント
7.実務で迷いやすいケーススタディ
・リテスト期限が到来した原薬を継続使用したい場合
・安定性試験データが設定期間を十分にカバーしていない場合
・規格内ではあるものの品質特性に変化が認められる場合
・OOTが認められた場合の期限管理
8.まとめ“原薬の期限管理を「設定」から「運用」へ”
・期限管理に必要なデータ・文書・システムのつながり
・科学的根拠とGMP運用を両立するためのポイント
・査察で説明可能な期限管理体制の構築
・現場で実践するためのチェックポイント
(一部、内容に変更がある場合がある)
【質疑応答】
◆◆講師プロフィール◆◆◆
学位:薬学博士
主な経歴:
1979年4月 塩野義製薬(株)入社
1994年5月 同 金ヶ崎工場製造管理者、同 製薬研究所
2004年4月〜2011年11月 同 信頼性保証本部GMP統括管理グループ長
2011年12月 塩野義製薬(株)退社
医薬品原薬メーカー エースジャパン取締役
2016年6月 エイドファーマ代表
NPO-QAセンター顧問、CMプラス社提携コンサルタント、エヌエスファーマシニアコンサルタント
2018年5月から現職
主な研究・業務:
医薬品製造および品質管理、プロセス化学、
品質保証ガイドライン策定、グローバル品質方針策定
国内外GMP規制当局のGMP査察対応、国内外企業のGMP監査(170以上の医薬品製造施設)
GMP関連テーマのセミナー、GMP/QMS監査、執筆活動多数を展開中
(セミナー)
GMP入門編、GMP/GQP省令、GQP/GMP/GDP要員育成、製造・QA・QC要員教育訓練、各種バリデーション、変更逸脱管理・OOS/OOT管理と手順書作成、リスクベースGMP監査・自己点検、GMP文書・記録の管理、治験薬GMP、適切なPQS運用、統計的製品品質照査、DI・DX管理、サプライヤー管理、ICH
Q7,8-10,11,12の解説、医薬品の不純物管理等
|