【講座の趣旨】
エポキシ樹脂でモールドした絶縁機器は,数十年に亘って使用されることが想定されるため,長期に亘り信頼性を確保する必要がある。これらの樹脂製の機器においては,エポキシ成型時に残留したボイドや,エポキシ樹脂の吸湿劣化,熱劣化によるクラック発生箇所で電界が集中し,部分放電(PD)が発生し得る。このような経年劣化及びPD発生を経た後に,機器は故障(絶縁破壊)に至る可能性がある。従って,絶縁破壊に至るまでの前駆現象であるPDを起こさないように機器を設計することは,絶縁破壊事故を防止する観点から重要である。
本講座では,ボイド型欠陥が存在するエポキシ樹脂内で進展するPD及び電気トリーを起点とした絶縁破壊現象について紹介する。また,実機でPDを計測した例を示し,劣化(寿命)診断の指標について考える。
【習得できる知識】
・絶縁体内で発生する部分放電及び電気トリー現象
・エポキシ樹脂内のボイド型欠陥を起点とした絶縁破壊現象
・部分放電や電気トリーの簡易な測定手法
・劣化(寿命)診断
1.エポキシ樹脂の特性と劣化現象
1.1 エポキシ樹脂の基礎特性
1.2 エポキシ樹脂の劣化要因の概要
1.3 ボイド型欠陥内部で発生する部分放電と電気トリー現象の概要
2.部分放電開始電界と部分放電の簡易な測定方法
2.1 ボイド型欠陥部及び周辺の電界強度分布
2.2 部分放電の簡易な測定方法
2.3 部分放電開始電界(電圧)の推定と測定例
3.エポキシ樹脂内ボイド型欠陥の部分放電及び電気トリー現象
3.1 無充填エポキシ試料における部分放電及び電気トリー現象
3.2 アルミナ充填エポキシ試料における部分放電及び電気トリー現象
3.3 異種絶縁体を含むエポキシ試料における部分放電及び電気トリー現象
3.4 期待寿命の推定例
4.実機における部分放電の計測例
4.1 実機における部分放電のトレンド監視例
4.2 劣化(寿命)診断の指標
5.まとめ
5.1 本講座のまとめ
5.2 今後の展望
【質疑応答】 |