No.2206

タンパク質の構造解析手法と

In silicoスクリーニングへの応用事例

〜AlphaFold、In silico創薬、NMR、X線、クライオ電子顕微鏡〜


 
■ 執筆者(敬称略)
横浜国立大学 児嶋 長次郎 大阪大学 松林 伸幸
大阪大学 古板 恭子 Hira_Labo 平 とも子
横浜国立大学 猪俣 光稀 崇城大学 平 大輔
京都大学 菅瀬 謙治  岡山大学 墨 智成
京都大学 森本 大智 長浜バイオ大学 今村 比呂志
東京理科大学 西野 達哉 東京大学 清水 謙多郎
茨城工業高等専門学校 若松 孝 (株)ちゃんフク 福田 宏幸
兵庫県立大学 久保 稔 一丸ファルコス(株) 坂元 孝太郎
兵庫県立大学 山田 大智 (株)アルティフ・ラボラトリーズ 相川 聖一
(国研)日本原子力研究開発機構 中川 洋 (株)アルティフ・ラボラトリーズ 松澤 史子
量子科学技術研究開発機構 平野 優 金沢大学 三浦 伸一
量子科学技術研究開発機構 玉田 太郎 理化学研究所 金田 亮
(公財)高輝度光科学研究センター 熊坂 崇 近畿大学 中村 真也
(公財)高輝度光科学研究センター 坂井 直樹 近畿大学 仲西 功
金沢大学  福間 剛士 帝人ファーマ(株) 角田 真二
自然科学研究機構 村田 和義 帝人ファーマ(株) 熊澤 啓子
京都産業大学  横山 謙 大正製薬(株) 牛山 文仁
大阪大学 岸川淳一 大正製薬(株) 田村 勇之進
味の素(株) 山口 浩輝 大正製薬(株) 遠藤 真弓
味の素(株) 中田 國夫 農業・食品産業技術総合研究機構 前田 美紀
高エネルギー加速器研究機構 守屋 俊夫 大阪大学 高谷 大輔
九州工業大学 安永 卓生 京都大学 岩田 浩明
広島大 東浦 彰史 東京工業大学 大上 雅史
広島大 山本 旭麻 日本大学 山岸 賢司
高知大学 杉山 成 鹿児島大学 石川 岳志
北海学園大学  友池 史明  (株)Veritas In Silico 中村 慎吾
徳島大学 鈴木 良尚 筑波大学 広川 貴次
新潟県立大学 萩原 真 京都大学 峯本 祥子
関西学院大学 山口 宏 京都大学 奥野 恭史
静岡県立大学 菱木 麻美 昭和大学 早川 大地
京都大学 名倉 淑子 名古屋大学 小池 亮太郎
京都大学 木村 香菜子 東北大学 西 羽美
岡山理科大学 牧 祥 ライフサイエンス統合 データベースセンター 池田 秀也
名古屋大学
岡 大椰 立命館大学 小川 慶子
名古屋大学 中野 秀雄 長浜バイオ大学 白井 剛
名城大学 兒島 孝明 (株)日本たばこ産業 篠田 清孝
北里大学 志鷹 真由子 (株)モルシス 池上 貴史
北陸先端大 山口 拓実 (株)モルシス   木村 嘉朗
自然科学研究機構 谷中 冴子 (株)モルシス   狩野 敦
(株)ツムラ 大渕 勝也 シップスバイオサイエンス(株) 朴 鍾圭
自然科学研究機構 奥村 久士    

■ 目  次


◇第1章 構造生物学のための主な物理的解析手法◇

★ 構造解析を行う際の前処理法や測定条件の検討とは!?

第1節 溶液NMRの手法を用いたタンパク質の立体構造解析
1.NMR測定
2.化学シフトの帰属
 2.1 主鎖の帰属 
 2.2 側鎖の帰属
3.立体構造計算
 3.1 構造制限情報の取得
 3.2 構造計算
4.MagRO-NMRViewおよびCYANAを用いた構造決定の手順
 4.1 NMRスペクトルの準備
 4.2 CYANA(FLYA)インプットファイルの準備
 4.3 CYANAの計算
 4.4 構造の精密化

第2節 溶液NMRのための試料前処理と測定条件設定
1.溶液NMRの測定条件と試料前処理の検討
 1.1 磁場均一性
 1.2 磁性物質
 1.3 塩強度
 1.4 試料の体積と濃度
2.大腸菌発現系を用いた蛋白質試料の調製
 2.1 実験を始める前に
 2.2 実験手順とその実例
 2.3 実験における留意点

第3節 タンパク質を多角的に捉えるNMR測定法
1.NMRによる動的構造解析法
 1.1 NMRによる動的構造解析法の概要
 1.2 ピコ秒からナノ秒オーダーの動的構造解析法
 1.3 マイクロ秒からミリ秒オーダーの動的構造解析法
 1.4 時から日オーダーの動的構造解析法
2.夾雑環境におけるタンパク質の動的構造解析
 2.1 夾雑環境におけるSOD1の安定性
 2.2 夾雑環境におけるFKBP12と薬剤との相互作用
3.流れの中におけるタンパク質の動的構造解析
 3.1 流れの中のユビキチンの回転運動
 3.2 流れによるSOD1のアミロイド線維化

第4節 蛋白質-DNA複合体のX線結晶構造解析
1.蛋白質-DNA複合体のX線結晶構造解析の基礎
 1.1 DNAの構造基盤
 1.2 DNAと相互作用する蛋白質
 1.1 DNA-蛋白質複合体のX線結晶構造解析と結晶化の工夫
2.蛋白質-DNA複合体のX線結晶構造解析
 2.1 DNA結合蛋白質によるDNA認識機構について
 2.2 DNA結合蛋白質による塩基配列の認識
 2.3 塩基配列依存的DNA結合蛋白質のX線結晶構造解析
 2.4 塩基配列非依存的なDNA結合蛋白質のX線結晶構造解析

第5節 タンパク質凝集体の分析法と結晶化分析
1.タンパク質の凝集と結晶化
 1.1 タンパク質の凝集
 1.2 タンパク質の結晶化
2.タンパク質凝集体の分析法と前方静的光散乱(F-SLS)法
 2.1 タンパク質凝集体の分析法
 2.2 前方静的光散乱(F-SLS)法とフラクタル凝集体の構造評価
 2.3 前方静的光散乱(F-SLS)測定装置
3.タンパク質凝集体の分析と結晶化分析の例
 3.1 リゾチーム凝集体の構造評価
 3.2 リゾチーム凝集体の構造評価

第6節 ラマン分光法の構造生物学的利用
1.局所構造プローブとしての分子振動
2.ラマン分光法
 2.1 ラマン分光法の基礎 
 2.2 共鳴ラマン効果
3.ラマン分光研究の実際
 3.1 DNAフォトリアーゼ ―共鳴効果を用いた解析―
 3.2 チロシナーゼ ―同位体シフトを用いた解析―
4.おわりに

第7節 中性子を活用した水とタンパク質の捉え方
1.中性子線の特徴
 1.1 中性子回折・散乱で得られる情報
 1.2 中性子回折・散乱と計算科学
2.中性子結晶構造解析
 2.1 水素・水和構造 
 2.2 量子構造生物学
3.溶液散乱
4.準弾性散乱

第8節 シンクロトロン光(放射光)を活用したタンパク質構造研究
1.放射光ビームラインの自動化
 1.1 試料自動交換装置の開発
 1.2 自動測定システム
2.放射光を利用した化合物スクリーニング
3.遠隔実験
4.プレート回折

第9節 生細胞内部を可視化するナノ内視鏡の可能性
1.ナノ内視鏡による生細胞内部構造観察
 1.1 原子間力顕微鏡(AFM)
 1.2 ナノ内視鏡技術
 1.3 細胞活性に与える影響
2.ナノ内視鏡観察法の可能性
 2.1 蛍光顕微鏡技術との複合化
 2.2 生細胞内でのナノスケール動態計測
3.おわりに


◇第2章 クライオ電子顕微鏡による構造解析◇

★ クライオ電顕の試料調整から活用例まで幅広く解説!!

第1節 クライオ電子顕微鏡によるタンパク質の構造解析
1.クライオ電子顕微鏡法開発の歴史
2.クライオ電子顕微鏡法の原理
3.電子顕微鏡の画像記録装置の進歩
4.クライオ電子顕微鏡によるタンパク質解析法
 4.1 単粒子解析
 4.2 電子線トモグラフィー
 4.3 マイクロ電子回折
 4.4 構造の精密化
5.試料グリッドの作製
6.クライオ電顕によるデータ収集
7.クライオ電子顕微鏡によるタンパク質構造解析の活用例

第2節 クライオ電子顕微鏡用の試料作成とその構造解析
1.膜タンパク質試料の可溶化と精製
 1.1 ATP合成酵素 FoF1 と V/A-ATPase
 1.2 膜タンパク質の可溶化
2.クライオグリッド作成の基本
 2.1 クライオグリッド作成における3つのポイント
 2.2 クライオグリッド作成の注意点
3.V/A-ATPaseの構造解析
 3.1 撮影用V/A-ATPaseの調製
 3.2 ATP加水分解の反応過程に対応した V/A-ATPaseの構造決定
 3.3 V/A-ATPaseのATP加水分解による回転機構
4.新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の構造解析
 4.1 新型コロナウイルスのスパイクタンパク質
 4.2 撮影用グリッドの作成
 4.3 スパイクタンパク質の単粒子解析

第3節 産業用酵素開発におけるクライオ電子顕微鏡の活用
1.ロイシン脱水素酵素の立体構造解析
 1.1 酵素法を用いたアミノ酸測定
 1.2 LeuDHのクライオ電顕による構造解析
 1.3 今後の展望
2.ホスホケトラーゼ(PKT)の立体構造解析
 2.1 合成生物学におけるPKTの重要性
 2.2 クライオ電子顕微鏡による高分解構造の解明
 2.3 今後の展望

第4節 AI技術を応用したクライオ電子顕微鏡による解析
1.クライオ電顕によるタンパク質立体構造決定と深層学習
2.三次元再構築前の二次元処理
 2.1 粒子ピッキング
 2.2 粒子ピッキングの前処理とメタ処理
3.三次元再構築のための三次元処理
 3.1 三次元クラス分けと三次元精密化
 3.2 三次元精密の後処理
 3.3 日本におけるプラスチック製容器包装のリサイクル
4.原子座標モデリング
5.将来の展望

第5節 クライオ電子顕微鏡における画像処理
1.はじめに
 1.1 電子線損傷の問題
 1.2 乾燥の問題
 1.3 染色の問題
2.デジタル画像処理の基本原理とクライオ電子顕微鏡法
 2.1 標本化と量子化
 2.2 空間周波数と構造因子
 2.3 標本化
 2.4 量子化
 2.5 点拡がり関数とコントラスト伝達関数
3.コントラストとその補正
 3.1 散乱コントラスト
 3.2 吸収コントラスト
 3.3 位相コントラスト
 3.4 CTFの補正
4.動画像処理
5.単粒子解析に関わる画像処理
 5.1 単粒子画像と投影角刻み角における分解能制限
 5.2 中央断面定理と3次元再構成
 5.3 投影角の決定方法
 5.4 参照画像を用いた投影角の決定
 5.5 参照画像を利用しない単粒子解析法
 5.6 構造多型と単粒子の選択
6.最後に


◇第3章 高品質なタンパク質結晶の求め方◇

★ 結晶化条件のパラメータ設定の最適化を解説!!

第1節 最適なタンパク質結晶化への条件検索
1.タンパク質結晶化の原理と方法
 1.1 核生成と結晶成長
 1.2 結晶化手法
2.タンパク質結晶化の流れ
 2.1 コンストラクション設計
 2.2 タンパク質の発現・精製
 2.3 結晶化サンプルの評価
3.結晶化スクリーニング、結晶化条件の最適化
 3.1 結晶化スクリーニング
 3.2 結晶化条件の最適化
 3.3 その他、結晶化に注意すべき点

第2節 中性子用大型タンパク質結晶育成に向けた凝固ゲル中結晶の利用
1.はじめに
2.アガロースゲルの特徴
3.凝固ゲル中結晶の優位性
 3.1 結晶の強度
 3.2 温度変化への耐性
 3.3 浸透圧損傷の軽減
 3.4 乾燥への耐性
4.凝固ゲル中結晶化法の実験操作
5.凝固ゲル中結晶を利用した大型結晶育成

第3節 ハイドロゲルによるタンパク質結晶の保護法
1.アルギン酸ゲルへの包埋
 1.1 アルギン酸を利用したタンパク質結晶保護
 1.2 他の二価の金属イオンを用いたゲル化
2.アクリルアミドゲルによる保護
 2.1 キャピラリー内でのゲル保護
 2.2 流体デバイスを用いた保護
 2.3 機能性モノマテリアル包装材料のためのフィルム
3.ゲルで保護された結晶の評価
 3.1 物理的衝撃からの保護
 3.2 ゲルとタンパク質結晶の関係
 3.3 低分子の透過性
 3.4 構造決定
4.これからの展望

第4節 塩濃度の違いによるタンパク質結晶の構造解析
1.脱塩溶液の液液相分離による濃厚相の生成とその内部での結晶化
 1.1 きっかけ
 1.2 遠心濃縮による液液相分離と濃厚相における結晶化
 1.3 放射光構造解析による塩析結晶との比較考察
 1.4 遠心濃縮結晶化法の工業用グレードタンパク質結晶化への応用
2.乾燥による脱塩結晶の結晶化
 2.1 はじめに
 2.2 ガラスキャピラリー中における乾燥濃縮プロセスによる結晶化と構造解析
 2.3 カバーガラス上における乾燥プロセスで得られる沈殿剤フリー濃縮結晶とその構造解析
3.まとめ

第5節 ウェスタンブロット法によるタンパク質の検出
1.はじめに
2.ウェスタンブロット法
 2.1 ウェスタンブロット法の原理
 2.2 準備
 2.3 SDS-PAGE
 2.4 ウェスタンブロット法
 2.5 リプローブ(ストリッピング)
 2.6 ウェスタンブロット法による低分子量タンパク質の検出
3.ゲルの着色
 3.1 濃縮ゲルの着色
 3.2 グラジエントゲル(分離ゲル)の着色
4.おわりに

第6節 アミノ酸類を添加剤として用いたタンパク質の結晶化戦略
1.タンパク質結晶化のための溶液設計の考え方
 1.1 タンパク質の結晶化はサイエンスか
 1.2 タンパク質結晶化のための溶液設計 
2.アミノ酸類を添加剤とした時の結晶析出条件の拡張
 2.1 卵白リゾチームの添加剤を加えた条件での結晶化成功率の向上
 2.2 卵白リゾチームの塩化ナトリウムを沈澱剤とした結晶化に対する添加剤効果
 2.3 卵白リゾチームの硫酸アンモニウムを沈澱剤とした結晶化に対する添加剤効果
 2.4 リゾチーム以外のタンパク質に対する効果
 2.5 アミノ酸類そのものを沈殿剤として用いた結晶化
3.アミノ酸などの添加剤を用いた結晶化条件検索の戦略

第7節 X線構造解析に向けたタンパク質結晶の凍結保存
1.タンパク質結晶を凍結するための準備
 1.1 タンパク質結晶の凍結に使用する装置
 1.2 タンパク質結晶の凍結と保管に使用する器具
 1.3 クライオプロテクタントとなる試薬
2.クライオプロテクタントの選択と結晶の氷晶防止処理
 2.1 クライオプロテクタントの選択
 2.2 結晶の氷晶防止処理
3.結晶の凍結と保管
 3.1 低温吹き付け装置を用いて凍結する方法
 3.2 液体窒素中での凍結と保管
4.氷晶防止条件の確認と改善
 4.1 回折像の確認
 4.2 氷晶防止条件の再検討
 4.3 ループの選択と溶媒の排除

第8節 膜タンパク質の結晶化
1.膜タンパク質結晶化の障壁
 1.1 可溶化による不安定化
 1.2 界面活性剤による結晶形成阻害
2.抗体共結晶化法
 2.1 結晶化抗体の条件
 2.2 抗体作製
 2.3 抗体との共結晶化
3.HiLiDe法
 3.1 HiLiDe法
 3.2 HiLiDeの結晶化
4.バイセル法
 4.1 バイセル法
 4.2 バイセルの結晶化
5.LCP法
 5.1 LCPとは
 5.2 LCPの作製方法
 5.3 LCP結晶化、ロボットの活用
 5.4 LCP結晶の観察
6.XFEL用LCP結晶化
 6.1 シリンジ法
 6.2 ワイヤー法

第9節 磁気力ブースターを利用した完全無容器結晶成長
1.磁気力と背景原理
 1.1 磁気力
 1.2 磁気アルキメデス効果
 1.3 力学的安定性
 1.4 磁気力ブースター
2.タンパク質の完全無容器結晶成長
 2.1 結晶化条件および観察条件
 2.2 実験結果
3.結論と今後の展開


◇第4章 分子シミュレーションによるタンパク質構造予測◇

★ 複雑なタンパク質のシミュレーションの紹介!!

第1節 バイオインフォマティクスの今後の展望
1.ゲノミクスに用いられるバイオインフォマティクス技術
 1.1 高速DNAシーケンシング
 1.2 ゲノム配列解析
 1.3 変異検出
2.トランスクリプトミクスに用いられるバイオインフォマティクス技術
 2.1 RNA-Seqを用いたトランスクリプトミクス
 2.2 single cell RNA-Seq
3.プロテオミクスに用いられるバイオインフォマティクス技術
4.その他のバイオインフォマティクス技術
 4.1 メタゲノミクス
 4.2 その他のバイオインフォマティクス技術

第2節 タンパク質構造とアミノ酸配列の関係
1.タンパク質の構造−配列の関係性
 1.1 タンパク質の基本構造
 1.2 タンパク質の配列情報
 1.3 MSAから読み解くタンパク質の構造
2.マルチプル配列アライメントと立体構造
 2.1 MSAを用いたコンタクトマップ予測
 2.2 コンタクトマップ予測と立体構造予測
3.タンパク質−タンパク質間相互作用

第3節 分子シミュレーションによる糖鎖の3次元構造の動態予測
1.糖鎖のMDシミュレーション
2.NMR法によるシミュレーション結果の検証
3.糖鎖の動的構造解析
4.糖鎖とレクチンとの相互作用の解析と分子設計への応用
5.糖タンパク質の動的構造解析
6.展望

第4節 漢方薬におけるin silicoを用いた薬物評価
1.多成分薬剤としての漢方薬研究
2.天然物の特徴的な作用に着目した研究
 2.1 乾姜成分とtransient receptor vanilloid 1 チャネル
 2.2 附子成分 イグナビン とμオピオイド受容体
3.天然物特有のターゲットタンパク質作用部位探索に向けた取り組み
 3.1 Mixed-solvent MDシミュレーションによる天然物のターゲットタンパク質結合部位の探索
 3.2 乾姜成分とtransient receptor vanilloid 1 チャネル

第5節 分子シミュレーションによるタンパク質のフォールディング/ミスフォールディング
1.分子動力学シミュレーション
2.拡張アンサンブル分子動力学シミュレーション
3.タンパク質のフォールディング/ミスフォールディングシミュレーション

第6節 分子動力学シミュレーションと溶液統計力学理論を用いたペプチド凝集の解析
1.凝集体形成の統計熱力学と共溶媒効果
2.モデル系
3.結果と考察

第7節 OpenMMによるタンパク質のMDシミュレーション
1.OpenMMの特徴
 1.1 豊富なユーザーマニュアルとチュートリアル
 1.2 使用可能な力場とファイル形式
 1.3 高い拡張性
 1.4 簡単なインストール
2.OpenMMによるMDシミュレーションの実行
 2.1 OpenMMのモデリングツール
 2.2 OpenMM-SetupによるモデリングとMDシミュレーションの設定と実行

第8節 タンパク質構造安定性における疎水性相互作用仮説の検証
1.タンパク質立体構造安定性における疎水性相互作用仮説
 1.1 疎水相互作用仮説,溶媒誘起相互作用
 1.2 自由エネルギー分解による溶媒誘起相互作用の見積もり
2.液体の密度汎関数理論による水和自由エネルギー計算
 2.1 液体の密度汎関数理論と積分方程式理論
 2.2 RMDFT法による水和自由エネルギー計算
3.タンパク質構造安定性における溶媒誘起相互作用の解析
 3.1 シニョリンのアンフォールディング自由エネルギーの分割:方法
 3.2 シニョリンのアンフォールディング自由エネルギーの分割:結果
 3.3 ロイシンジッパーGCN4-p1の構造安定性のエネルギー論
4.まとめ


◇第5章 AlphaFold2の可能性とタンパク質の立体構造解析事例 ◇

★ 業界に激震を与えたAlphaFoldについて徹底解説!!

第1節 タンパク質構造予測法AlphaFold2の可能性
1.AlphaFold2の予測精度
2.AlphaFold2の構造予測手法
 2.1 コンタクトマップの予測によるアプローチ
 2.2 AlphaFold2の手法の概要
3.ColabFold
4.タンパク質の複合体構造予測
5.AlphaFold2を用いた研究の展開
6.AlphaFold2の現状と展望
 6.1 AlphaFold2の課題
 6.2 新しい高精度予測法の登場

第2節 タンパク質デザインによる産業応用への期待
1.タンパク質デザインとは?
 1.1 実験的手法によるタンパク質のデザイン
 1.2 計算機的手法によるタンパク質のデザイン
 1.3 タンパク質デザインの具体例
2.AIによるタンパク質デザイン
 2.1 AIによるタンパク質デザインの概要
 2.2 AIによるタンパク質デザイン手法
3.今後の展望について

第3節 AlphaFold2を用いた企業の取り組み
1.VIPR2について
2.VIPR2選択的なアンタゴニストペプチドKS-133の創製について
3.KS-133とVIPR2の複合体モデルの構築について
4.KS-133のVIPR2結合メカニズムについて
5.VIPのVIPR2結合メカニズムについて
6.KS-133とVIPのVIPR2結合メカニズムの違いについて
7.VIPR2の機能的S-S結合の発見について

第4節 SWISS-MODELを活用したホモロジーモデリング
1.SWISS-MODELによるホモロジーモデリング
 1.1 テンプレート構造の検索
 1.2 テンプレート構造の選定
 1.3 ターゲットの立体構造モデルの構築
 1.4 構築したターゲットの立体構造モデルの評価
2.SWISS-MODELによるホモロジーモデリングの操作手順
 2.1 自動モードを使用した立体構造モデルの構築(Automated Mode)
 2.2 アライメントモードを使用した立体構造モデルの構築(Alignment Mode)
 2.3 テンプレートモードを使用した立体構造モデルの構築(User Template Mode)
 2.4 多量体の立体構造モデルの構築
3.SWISS-MODELによるホモロジーモデリングの活用例
 3.1 酵素と阻害剤の複合体モデルの構築
 3.2 ヘテロ多量体の立体構造モデルの構築
 3.3 変異体のモデリング

第5節 拡張アンサンブル法による3次元構造予測法
1.タンパク質のフォールディング問題と立体構造予測
 1.1 マルチカノニカル法
 1.2 一般化ハイブリッドモンテカルロ法
 1.3 グリセリンを炭素源としたときの生合成
 1.4 バイオディーゼル燃料合成時の副生成物であるグリセリンを炭素源とした生合成
2.拡張アンサンブル法
 2.1 偶数・奇数脂肪酸を炭素源としたときの生合成
 2.2 グリセリンを炭素源とした生合成
 2.3 脂肪酸誘導体を炭素源とした生合成
3.粗視化モデルの熱力学的フォールディング転移
 3.1 モデル
4.展望

第6節 ベイズ推定を用いたタンパク質分子シミュレーション
1.ベイズ最適化手法を用いた効率的な粗視化分子シミュレーションのモデルパラメータ探索
 1.1 粗視化分子シミュレーションのsucessfulパラメータ領域探索の為の機械学習手法
 1.2 F1分子モーターの粗視化分子シミュレーション
 1.3 F1分子モーターの粗視化分子シミュレーションに対するパラメータの探索性能
2.ベイズ最適化とadaptive粗視化バネモデルによる生体分子の構造サンプリングの向上
 2.1 adaptive CG-ENMの概要
 2.2 nsオーダーの短時間全原子MDに基づくDCCMの評価と構造ドメインの特定
 2.3 ベイズ最適化によるadaptive CG-ENMの最適パラメータセットの効率的探索
 2.4 新しいadaptive CG-ENMのサンプリング性能と従来型の粗視化ENM及びAA-MDとの比較
3.まとめと今後の課題


◇第6章 In silicoによるスクリーニングへの応用事例◇

★ 様々なIn silicoスクリーニング事例の紹介!!

第1節 In silicoを用いたタンパク質―リガンドの相互作用解析と分子設計
1.Protein Kinase CK2 とバーチャルスクリーニング
 1.1 Protein Kinase CK2とは
 1.2 バーチャルスクリーニングによるヒット化合物の探索
 1.3 X線結晶構造解析による結合様式の確認と相互作用解析に基づく分子設計
2.α-グルコシダーゼとサラシノール
 2.1 α-グルコシダーゼとは
 2.2 サラシア属植物と活性化合物サラシノール
 2.3 サラシノールの相互作用解析と分子設計
 

第2節 In silico創薬技術に基づくComputer-Aided Drug Designの考え方
1.Target Validation
2.Hit Finding
3.Hit to Lead
4.Lead Optimization

第3節 In Silico創薬技術に基づくFragment-Based Drug Designの考え方と応用事例
1.FBDDの概要
 1.1 FBDDの変遷
 1.2 構造生物学との関連
 1.3 生物物理学との関連
2.FBDDにて利用されているin silico創薬技術
 2.1 バーチャルスクリーニング
 2.2 フラグメントベースの分子設計
 2.3 分子動力学計算
 2.4 結合自由エネルギー計算
 2.5 量子化学計算,フラグメント分子軌道計算
3.In silico創薬技術を用いた応用事例
 3.1 DNAジャイレース阻害物質
 3.2 プロテインキナーゼA (PKA)阻害物質

第4節 化学的に正しい立体構造データの収集
1.有機化合物の立体化学
 1.1 原子キラリティ(R/S)
 1.2 幾何異性(二重結合周りのシス/トランスまたはE/Z)
 1.3 天然物と合成化合物の立体化学的な特徴
2.化合物の記述方法
 2.1 SMILES (Simplified Molecular Input Line Entry System)
 2.2 InChI (IUPAC International Chemical Identifier)
 2.3 MOL(SD)形式
 2.4 Tripos mol2形式
3.立体化学を含めた2つの化合物構造の比較
 3.1 SMILES文字列の一致
 3.2 InChI文字列の一致
 3.3 線形表記を利用した化合物重複検出の実際
4.化合物情報を扱うためのその他の知識
 4.1 名称・IUPAC名の利用
 4.2 CAS登録番号(CAS RNR, CAS Registry NumberR)の利用
 4.3 InChIKeyの利用
5.化合物情報の正確性を判断するための注意点
 5.1 論文記載情報の注意点(絶対構造か相対構造か)
 5.2 糖のDL体とαβアノマーに関する注意点
 5.3 水素の配置に関する注意点(●印は何か?)
 5.4 分子力場の「くせ」
 
第5節 フラグメント分子軌道法による分子間相互作用データを収集したデータベース
1.FMO法について
 1.1 IFIE/PIEDAによる相互作用解析
 1.2 フラグメントの分割について
 1.3 PIEDA
2.FMODBについて
 2.1 FMO計算データの収集背景
 2.2 FMODBに登録済みのその他の解析事例、ハロゲン相互作用解析
3.ログファイルから直接FMO計算結果を得る方法について
4.まとめ

第6節 ディープラーニングを用いた化合物―タンパク質の相互作用予測
1.化合物-タンパク質の相互作用予測とは
2.化合物-タンパク質の相互作用予測のためのデータベース
 2.1 化合物関連データベース
 2.2 タンパク質関連データベース
 2.3 化合物やタンパク質の統合データベース
3.データフォーマット 
 3.1 化合物の入力フォーマット
 3.2 タンパク質の入力フォーマット
4.ディープラーニングによるCPI予測
 4.1 リガンドベースアプローチ
 4.2 立体構造ベースアプローチ
 4.3 ケモゲノミクスアプローチ

第7節 PPI(タンパク質間相互作用)を標的とするドラッグデザイン
1.タンパク質間相互作用(Protein-Protein Interaction)を狙う低分子化合物
2.タンパク質間相互作用を標的とする化合物の設計指標
 2.1 経口医薬品に関する設計指標 ? RO5 と QED
 2.2 PPI標的化合物に関する設計指標 ? RO4とQEPPI
3.タンパク質間相互作用向け化合物ライブラリー
 3.1 PPIライブラリー
 3.2 PPIバーチャルライブラリー
4.AlphaFold2によるPPI阻害ペプチドの設計

第8節 生体分子シミュレーションによる核酸医薬品開発への展開
1.はじめに
2.核酸医薬品アプタマー
 2.1 アプタマーとは
 2.2 アプタマーと標的分子との分子間相互作用
3.フラグメント分子軌道(FMO)法
 2.1 経口医薬品に関する設計指標 ? RO5 と QED
 2.2 PPI標的化合物に関する設計指標 ? RO4とQEPPI
4.フラグメント間相互作用(IFIE)を用いたアプタマーと標的分子との分子間相互作用の解析
 4.1 アプタマーの各ヌクレオチドと抗体との分子間相互作用
 4.2 ベースフリップしたG7ヌクレオチドの形成する分子間相互作用
5.Visualization of the Interfacial Electrostatic Complementarity (VIINEC)
 5.1 VIINECの詳細
 5.2 複合体形成おける電子的なinduced fitの解析
 5.3 各フラグメントの静電的相補性への寄与の解析
 5.4 VIINECを用いたアプタマーと標的分子との静電的な相互作用の解析
6.まとめ

第9節 分子標的創薬にむけたmRNAのインシリコ構造解析
1.プラットフォーム
 1.1 ibVISRプラットフォーム
 1.2 ターゲット探索のためのmRNA構造解析
2.ターゲット探索の初期に行われるmRNAインシリコ構造解析
 2.1 前処理(RNA構造予測) 
 2.2 部分構造解析
 2.3 評価 ― スコアリング
 2.4 まとめ
3.実験的検証
4.創薬の実際
5.まとめ

第10節 タンパク質立体構造情報に基づくIn silicoドラッグリポジショニング創薬支援
1.In silicoドラッグリポジショニング
 1.1 In silicoドラッグリポジショニングの分類
 1.2 タンパク質-リガンドドッキング計算
 1.3 インバースドッキング計算を用いたin silicoドラッグリポジショニングに関する先行研究
2.In silicoドラッグリポジショニングの実施例
 2.1 タンパク質‐タンパク質阻害剤探索
 2.2 原材料採集地の特定

第11節 スーパーコンピュータ「富岳」によるIn silico創薬
1.何故、創薬計算にスーパーコンピュータが必要なのか
2.ドッキングシミュレーションやAIによる新型コロナウイルスの薬剤探索
3.がんの変異タンパク質と薬剤のドッキングシミュレーション
4.ネットワーク解析による疾患分子メカニズムの解析と創薬標的遺伝子の探索

第12節 量子化学計算とプローブ分子を用いた分子相互作用場算出
1.分子相互作用場と非典型分子間相互作用
 1.1 従来の分子相互作用場の概要 
 1.2 非典型分子間相互作用
2.量子化学計算とプローブ分子を用いた分子相互作用場の算出
 2.1 非典型分子間相互作用を記述できるMIF
 2.2 量子化学計算とプローブ分子を用いた分子相互作用場の算出方法
 2.3 CK2阻害剤への適用例
3.MIFのタンパク質/リガンド間相互作用エネルギー計算への応用


◇第7章In silico創薬に用いられるデータベースとソフトウェアの使い方◇

★各種DBの使い方から、役立つソフトまで紹介!!

第1節 タンパク質立体構造データベースPDBと予測構造
1.PDBでの予測構造
 1.1 Computed Structure Models (CSM)
 1.2 AF構造と配列クラスター
2.基質と結合した構造のデータ
 2.1 ある基質を結合した構造のリストアップ
 2.2 基質の識別子
 2.3 タンパク質と基質の組み合わせ検索

第2節 アミノ酸配列関連データベースUniProtの使い方
1.UniProtの概要
2.UniProtの検索・閲覧方法
 2.1 UniProtの検索・閲覧
 2.2 UniProtの高度な検索
 2.3 検索結果の一覧
3.UniProtに収録されている各タンパク質の詳細情報
 3.1 UniProtにおける注釈の情報源(Evidence Tag)
 3.2 タンパク質の基本情報(ページ最上部、Name & TaxonomyおよびSequence & Isoforms)
 3.3 タンパク質の残基レベルでの情報(Function、Disease&VariantsおよびPTM/Processing)
 3.4 タンパク質の構造・複合体情報(Structure、Interaction)
 3.5 タンパク質の機能情報(Function、Family & DomainsおよびInteraction)
 3.6 タンパク質の進化的情報(Family & DomainsおよびSimilar Proteins)
 3.7 タンパク質に付随する細胞生物学・生理学的情報(Subcellular Location、Disease&Variants、Expression)
4.UniProtに付随する代表的なWebツール
 4.1 BLAST
 4.2 Clustal Omega
 4.3 IDマッピングツール
5.UniProtへのプログラムを介したアクセス方法

第3節 タンパク質分類データベースInterProの使い方
1.InterPro エントリーのタイプ
2.InterPro エントリーを閲覧する
3.タンパク質エントリーを閲覧する
4.ドメインアーキテクチャで検索する
5.構造エントリーを閲覧する
6.Search by sequence (InterProScan) - 未知の配列をアノテーションする
7.更新情報について

第4節 生物活性物質データベース ChEMBL の使い方
1.ChEMBLの概要
 1.1 情報源
 1.2 ChEMBLに収載されている情報
 1.3 ChEMBLの派生データベース
2.ChEMBLの基本的な機能と使用方法
 2.1 検索機能
 2.2 検索結果画面の操作
 2.3 BLASTによる検索結果の画面と機能について
3.ChEMBLを利用した情報収集の一例
 3.1 化合物のCAS番号(CID)のリストからタンパク質への結合情報を収集する

第5節 タンパク質配列モチーフデータベースPROSITEの使い方
1.PROSITEの概要
 1.1 PROSITE pattern
 1.2 PROSITE profile
 1.3 PROSITEのスコア
2.PROSITEの使い方
 2.1 PROSITEウェブツール
 2.2 PROSITE検索と結果の閲覧
 2.3 ScanProsite検索
3.PROSITE検索の応用例
 3.1 機能部位マッピング図の作成
 3.2 部分配列の残基番号の検索

第6節 KNIMEを活用した創薬研究効率化の取り組み
1.創薬ADME評価データの概要
 1.1 薬物動態(ADME)
 1.2 創薬ADME評価
2.評価データのDB化と可視化
 2.1 評価データのDB化
 2.2 DB化した評価データの可視化
 2.3 KNIMEを利用したシステム構築
3.KNIMEを利用したシステム構築
 3.1 KNIMEの概要
 3.2 創薬研究におけるKNIMEの利用
 3.3 製薬企業でのKNIME導入
4.KNIMEを利用した創薬ADME評価データの管理 
 4.1 KNIMEを利用したデータ登録システムのプロセス
 4.2 データ登録システムに実装している機能の詳細
 4.3 KNIMEを利用したデータ可視化システム

第7節 MOEの分子構造データベースと創薬への活用
1.MOE
2.MOEにおける分子構造データ解析
 2.1 分子構造の前処理
 2.2 部分構造検索・類似構造検索
 2.3 分子記述子計算
 2.4 定量的構造活性相関(QSAR)
 2.5 統計解析とデータの可視化
3.各種分子構造データベースと活用事例
 3.1 リードライク化合物データベースのスクリーニング
 3.2 フラグメントデータベースによる分子改変
 3.3 Building Blockデータベースを用いたバーチャルライブラリー構築
 3.4 プロジェクトデータベースによる標的タンパク質の管理

第8節 タンパク質構造予測ソフトウェアの紹介
1.NovaFold AI
 1.1 NovaFold AIの概要
 1.2 NovaFold AIの詳細
2.NovaFold
 2.1 NovaFoldの概要
 2.2 NovaFoldの詳細
3.NovaFold Antibody
 3.1 NovaFold Antibodyの概要
 3.2 NovaFold Antibodyの詳細
4.NovaDock
 4.1 NovaDockの概要
 4.2 NovaDockの詳細